第二話 異世界天職ースノードロップー
「きったねぇ、
「俺につけんなよ。これ結構気に入ってんだぜ。」
「近寄んなよ、え、もしかして泣いてる?きっしょ!」
そう、これはよくある光景。
いつものことだから慣れ慣れ……。僕は必死に顔を整えて、自分の席の方へと向かう。
正直僕が何をしたのか分からない。気づいたらああなってた。最初は陰口。面と向かって言われるように、手を出されるようになったのはつい最近のことだ。
僕には友達がいた。たった一人の大事な友達。
ぼっちで、周りから避けられていた僕に唯一話しかけてくれた友達。
でも、親の都合とかで遠くに引っ越していった。
そして、またぼっちに戻って……。
あ、僕の席がない。
これもまたいつものこと。実際に席がないんじゃなくて、僕の机だけ運ばれてないだけ。上げた椅子も僕だけそのまんまで、ない存在として扱われている。でも異様な存在感を放つ。
いつものことだから慣れ慣れ、と椅子をおろす。
確か算数の宿題があったっけ。立方体の体積難しいんだよな。まずは公式覚えないとな……。
そう心で言いながらも、身体の中から、いけないものが溢れようとしてくる。
――嘘だ。嘘だ。慣れるわけがない。学校だって休みたい。そんなこと言えるわけがない。自分を否定されるのが怖くて仕方ないんだ。こんな自分なんて、大、嫌いだ。
帰りの会が終わると逃げるようにして家に帰る。帰り道もみんなと被らないように、遠回りでも裏道を使う。みんなに会わないよう、できるだけ、遅い足を無理やり動かす。
何も考えないように、歩き続ける。
でも、今日は、ふと、頭の中に、様々な出来事が、たくさん、降ってきた。
――「きったねぇ、落雪菌がうつるぞー!」「俺につけんなよ。」「近寄んなよ、え、もしかして泣いてる?きっしょ!」
頭がくらくらする。心臓がバクバクする。息がうまく吸えない。身体がうまく立ってくれない。
それから先のことは、分からない。
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