第11話 キャンプ道具は家でも使える(晩御飯)
近年のキャンプ道具の進化は素晴らしく、これまで直火対応の製品ばかりだったが遂にIH対応の製品も爆誕。その数も多く、多種多様なIH製品が生み出されている。こうしたIH製品の最大の目玉は、キャンプだけではなく、お家でも利用できる点だろう。道具は使うほどコストが下がっていくので、非常に助かる。アウトドア用品は、非常に考えられて作られているから、それが各家庭で導入しやすくなるのはありがたい人も多いはずだ。
僕か個人的にお家で利用しているのは、ステンレス製のダッチオーブン。手入れ楽だし、IH対応しているし、本格的な料理できるし。何より、壊れることがないという点では、だれにも負けない。
「さて、朝から煮込んでいたチャーシューはどうなっているのかね」
チャーシューなんて、家ではできないと思われがちだが案外簡単に作れるのだ。本当は圧力鍋が必要かもしれないが、ダッチオーブンでも難しくはない。
「ただ味付けが正直怪しいんだよね」
本当は長期漬け込み、煮込みをするためには薄味でやるべきなんだけど......かなり寝ぼけていて何も考えずに味付けをしてしまった。少しは薄味になっているとは思うのだが。
「寝起きで本気調理は、やっぱりだめだな。でも、あの時は最高だと思ったんだよなぁ~」
そんなことを呟きながら、冷蔵庫から漬け込んでおいたチャーシューを取り出して火にかける。このまま再度過熱してじっくりと煮込めば完成だ。その間に、お米を
洗って炊飯器に投入してスイッチオン。
「後はほったらかしで、おいしい晩御飯にありつけるって寸法よ」
一時間ほどたてば、チャーシューのほうもいい感じに仕上がり、お米も炊き終えて早く食べてくれと僕を急かしている。個人的に、炊き立てのお米の輝きは本当に飯テロを起こせると思う。白米のこの輝きだけで、ご飯一杯は食べられるんだよね。(これはマジ)
「チャーシューのほうも、いい感じに仕上がっているではありませんか。良きかなよきかな」
予定よりも少しだけ黒光りしているチャーシューは、その肉の厚み。そしてタレがしみ込んだ影響で重みのある黒光り。個人的な感想で申し訳がないが、とてもグッジョブ。もう、最高だ。
「本当はチャーシュー麺とかにしたほうがおいしいのだけど......今回は麵を用意することを完全に忘れたから、どんぶりで行く」
チャーシュー麵ももちろん大好きだけど、個人的にはチャーシュー丼も捨てがたい。チャーシューの味付けと、からしマヨネーズが非常に合うのだ。普通のマヨネーズでもコクが生まれて正直最高においしいが、僕はからしマヨ派閥に所属している。
「まぁ、好みだから何でもいいでしょ。それにかける量も、結構少ないしね」
マヨラーになりたいと思ったけど、マヨネーズジャンキーにはなれなかった。なんでもマヨネーズを使う項目はクリアできるが、その先の大量消費にはつながらないのだ。
世の中のマヨラーは本当に尊敬できる。ケチャラーでもいいけど、やはり何かに取り付かれたように必死になれるものがあるって、それだけですごいなと僕は思います。
「本当は、白ネギとか薬味があればいいんだけど今回は何もないか.......はぁ、もう少しお金があればいい生活ができるんだけどね。安給で働かされる、若者社員としてはこれ以上は望めないんだよなぁ」
会社員はいろんなものに守ってもらえる半面、失うものも多い。会社に縛られている環境下で、何をするのか。自分にできることは何かを考えて行動しなければならない。
どうでもいいけど。将来とか貯金とか考えることができない事を除けば、正直本当にどうでもいい。
「今はおいしくご飯が食べられるだけ、まだいいさ。自炊ができなかったときは、本当に辛かったし、人生糞だと思ってたからね。食生活って大事」
自分で飯を作って、おいしくいただく。この瞬間はだれにも邪魔されたくないし、至福の時間だと思う。これって、人類共通なんじゃないかなとさえ思っているほど、僕はこの方針に関しては妄信的だ。
「って、そんことを考えているから作業が中断されるんだよね。ついくだらないことを考え込むのは、悪い癖だな。さっさと食べないと!」
任意の厚みでチャーシューをスライス。適当に切って、丼......という名のボウルにINしていく。自分で作ったチャーシューを3/4程と、ご飯三合を使用した最強どんぶりの完成である。
「いただきます」
まずは手始めに、チャーシューを一枚すくい上げる。外側の黒さとは一転して、内側は火の通った肉色。やや白めでありながら、タレがしみ込んだ影響か少しだけ茶色っぽい色味になっている。個人的に結構好きな色合いだ。
口の中に放り込めば、やはり味が濃い。醤油の塩気を強めに感じてしまうが、人加味すれば内側からは肉のうまみがあふれ出てくる。内側までしっとりとしたチャーシューは、噛めば噛むほど肉本来のうまみと濃厚なタレが押し寄せてくる。これは、白米が進まないわけがない。
鬼のように、チャーシューの下から顔を出した白米をかきこんで行く。このコンビ、本当に強すぎて手の出しようがないんだが。
「味付けがちょっと濃いくなって、塩辛いかもだけどこれぐらいのほうが白米が進んで最高だな。むしろ、チャーシュー丼にするならば、これくらい塩気があったほうが僕の好みの味なのかもしれない」
さらにここで、先ほど話題になったからしマヨネーズを投入。狙いを定めて、チャーシューの上にファイヤーしていく。そして、満足がいくほどかけられれば、何も考えずに、白米とチャーシューをかきこむ。
「もう、無限にこれでいいよね。最高だよ」
それからは、ただただチャーシュー丼をかき込むだけの機械として、僕は立派に役目を果たすのだった。
いや、本当においしかった。また作ろう。
「ごちそうさまでした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます