11話 お姉ちゃんとゾンビ狩りいこ?

 なのに、父は玲美さんが来てから、僕の学校について相談をしたらしい。

 僕に「話があるんだ」と夕食前にリビングに呼び出してきた。

 すでに父親が座っていて、玲美さんと重苦しい表情で僕を迎えた。一生懸命空気を作っている様子が、父親ながら痛々しい。

 何の話か聞かなくても、話題が僕の学校についてだというのはわかった。

「あのね、お母さん考えたんだけど……」

 と、僕のお母さんは深刻そうに切り出した。

「夏休み明けからは、保健室登校してみない? あのね、まず学校に毎日通うこと。それに、なれていくの」

「……」

「勉強もそこでやりながら私立の中学校に入れば、また違うと思うし。現くんって頭いいんだよね。成績はすごくいいって聞いたし。どう、現くん?」

 うまく答えられなかった。

 今まで僕に興味も持たなかったくせに、急に親身になっているフリをされるのがすごく嫌だった。

 それでも、学校でどういう扱いを受けているか、説明をするのも嫌だった。

 父親は困ったような顔をしているだけだった。どうにか僕を学校に行かせたい、という玲美さんの考えに合わせているだけ。

 面倒ごとにフタをしてしまいたい、という考えがかくしきれていなかった。

「……」

「お母さんもそう言ってるんだ。お前も何か答えろ」

 父親は僕の肩をつかむ。玲美さんにいいところを見せたいだけのように感じた。

「四季お姉ちゃんだって心配してるんだ。お姉ちゃんに申し訳なくないのか?」

「……」

 少し胸が痛んだ。でも、四季がなんだっていうんだ。

 父親はため息をついた。

「現」

 答えにつまっていた僕の前に、四季が現れた。

 そして、僕の手を取った。

「お姉ちゃんとゾンビ狩りいこ?」

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