第9話 ドロップ品とギルドカード

初めてのダンジョン探索ながら、僕らどんどんと奥に進んでいった。


アストレアが強すぎて初めの方の階層のモンスターでは勝負にならないため階層も下へ行き、懐かしの5階層へとやってきた。


足が進まなくなるかもと考えたが、アストレアのいるお陰なのかなんにも思わずに足を踏み入れることが出来た。


そして、今度は刃物を持った二足歩行の狼のようなモンスター、コボルト二体とエンカウントした。


アストレアは素早く再び剣を構える。

それぞれが睨み合い、牽制し合う。


そして、先に攻撃を仕掛けたのはアストレアの方だった。


ゴブリンのときと同じように、剣を左から右へ振るが軽い身のこなしで躱される。


しかし、そのまま素早く右から左へ振り直し一体を倒す。


ゴブリンよりも手強くコボルトも反撃してくる。

アストレアの攻撃したあとの隙を見てコボルトはアストレアの懐へ素早く入り込んでくる。


アストレアは不意を突かれ態勢が整っていない。


コボルトが刃物を突き刺そうとするが、アストレアは咄嗟に剣を手放しこぶしを握り渾身の右ストレートをコボルトの顔面へ放つ。


剣での攻撃だけど思い込んでいたであろうコボルトは不意をつかれてアストレアの拳をもろに食らっい、吹っ飛ばされそのまま壁に打つつけられ、消えて行った。


そして、そこからポロっと何かが落ちた。


戦闘を終えアストレアはフッっと息を一つ付き、それを拾いこちらに持ってくる。


その光景を見た僕は彼女は絶対に怒らせてはいけないなと心の中に誓った。


「ドロップ品がありました。」


そう言いながらアストレアはコボルトからドロップしたであろうドロップ品を僕に手渡してくる。


「回復ポーションか。」

「はい。五階層までは回復ポーションがドロップ品のようです。」

「なるほど。よし、それじゃあ、もう少しポーションを集めてから帰るとするか。」

「そうですね。」

「今度は、今みたいにまた油断するんじゃないぞ。」

「はい。もうしません。」


それから、暗くなるまで五階層でコボルトを狩り続けて、回復ポーションは全部で15個も集まった。


僕らはそれを冒険ギルドにもっていくためダンジョンを後にした。




アストレアをまたローブの中に隠して冒険ギルドに到着すると、僕はカウンターに行き、いつぞやの受付の女性に話しかける。


「ドロップ品を提出したいのですが。」


僕は、今日集めた15この回復ポーションのうち10個を取り出し、渡した。

残りの5個は万が一の時のために取っておくことにした。


「ご無沙汰しています。ドロップ品の提出ですね。ドロップ品の提出は今回は初めてですか?」

「はい、初めてです。」

「でしたら、ギルドカードの発行をいたします。お名前を聞いてもよろしいですか?」

「エンニオ・ミドルです。」

「パートナーの登録はどうされますか?一応非公開にもできますが。」

「パートナーはいないので、非公開でよろしくお願いします。」

「あぁ、そうでしたね。申し訳ございません。それでは登録致しますので、暫くお待ちくださいね。」


パートナーを登録しなければいけなかったら、少し考えるものがあったが非公開の制度があって助かった。

どこかに離れていった受付の女性は小走りで帰ってくると、1枚のカードを渡してきた。


「こちらが、ギルドカードです。冒険者の貢献はこの中に記録されます。無くした時は再発行できますので、その時はまたこちらに来てください。今回の回復ポーションの謝礼金と実績は既に反映しております。」

「はい。ありがとうございます。それで、少し聞きたいのですが、どのくらいドロップ品を提出すればバッジがもらえるようになるのですか?」


僕はギルドカードを作ったついでに気になったことを聞いておくことにした。


「そうですね、ゴートテイマーのコスモス様が直々に確認して決めているので、詳細は私共も分かっていませんが、今までのバッジをもらった方を見ると、毎日のいらしてくる方が大体4~5年ぐらいでもらっていますね。」

「なるほど。」

「それに、実績と言ってもドロップ品提出だけではありませんし、一概には言えないですね。」

「ありがとうございます。」

「いえいえ、頑張ってくださいね。何事もコツコツするのが大切ですから。」

「はい!」


僕はドロップ品を提出を終え、冒険ギルドを後にして家に向かった。


「4〜5年って少し長いですね。」


帰りの道中、アストレアがローブのフードの中から顔を出し、話しかけてきた。


「そうだね。来年には学園に行きたいから両立って事になるな。」

「そうすると、もう少しかかりそうですね。」

「そうだな。まあ、気長に行こう。受付の人が言っていた通り、コツコツするのが大切だからな。」

「そうですね。」


僕らはそんな会話をしながら帰った。

家では家族でご飯を食べ、今日あったことを報告合った。


アストレアにはもちろん母さん特製のアップルパイが用意されていた。

家族で一緒に過ごす時間はとても幸せだった。


それから、僕は明日のダンジョン探索に備え僕はすぐに眠りについた。

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