オルガノン教会にて……

「でっ、でもよ……! そんな凄い守り神がいて何で女神の石像がいきなり壊れたんだよ!?」


「――長い年月と時が経てば、いくら強力な魔法が施されていても、その効果は薄れていく。あるいは予期せぬ出来事が起きた事で、何らかの影響を石像が受けて術が解けた可能性がある」


「マジかよ……!?」


「ああ、ワシはそうだと思っておる」


 神父の話しにアルスは頭を抱えた。


「ふざけんなよ、賞味期限切れの結界なんか張りやがって。どうせ張るなら永遠に長持ちする結界を張りやがれ!」


「アルス、お前と言う奴は……! 我々の平和が今まで保たれていたのはら勇者アルス様のおかげなんだぞ! それを感謝せんとは、何て不届き者じゃ!」


「うるせぇ! こんな事が起きなかったら、俺はいつもの時間にイベントのゲームして遊んでいたんだよ! 月イチ一回のデカいイベントを前に、俺は2週間前から色々準備してたのにそれも全部パァだ! 究極の至高素材をゲットするチャンスだったのになぁ! ついでに素材2倍化で極石も手に入れようとしたのにクソったれ!」


 アルスが苛立ちながら話すと神父は言った。


「熱湯ゲーだか、ネンなんちゃらだかしらんが、今はそんな事を言っている暇はないんじゃぞ!」


「ネトゲだよ、ネトゲー! ああ、マジオワタ。足りない至高差材が全部集まったら真・アルテマウェポンに強化出来たのにぃいいっ!!」


『やかましいわいっ!!』


 神父はキレると彼の頭をドデカイ十字架の棒で殴って説教した。アルスは頭にデカいタンコブを作って手で摩った。


「いってぇな、急に何するんだよ! おっちゃんそうやって怒るとまた血圧あがるぞ!?」


「……いくら友の孫と言えでも、時おりコヤツが憎たらしくなるのは気のせいだろうか?」


 そう言った彼の顔は殺人一歩手前の表情をしていた。アルスは鼻を呑気にほじると耳を掻いた。その態度がますます太々しかった。

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