夢の終わり。

「――と、父ちゃんと母ちゃんがいなくなっても、お前は兄ちゃんと姉ちゃんの3人で強く生きるんだぞ……?」


「オヤジ……!?」


「ハァ、ハァ、あっ、あと……! ニートは卒業して、まともに働け……!」


「よっ、余計な御世話なんだよ……! い、言われなくてもニートなんか卒業してやる……!」


「あと、あと、この街から逃げろ……! この街は恐らく大変なことになる……! いや、それは既に始まってるのかも知れない……!」


「大変ことってなんだよ、何で逃げる必要が……!?」


「魔、魔族が……」


「はっ!? 魔族……!?」


「アルス……お前に今まで名前のせいで迷惑をかけたな。勇者アルスの名前で生きていくことが、お前にとってどんなに辛く、大変だったか……。父ちゃんも母ちゃんも、お前が生まれたときに爺ちゃんがお前に、先祖にあたる爺様の勇者アルスの名前をつけようとしてたから反対したんだ。でも、でも……俺の爺ちゃんは頑固者で……ぐふっ……!」


「オヤジ死ぬなよ! ってか、もう話すな! もうわかったから……!」


「アルス……つ、強く生きろよ……お前にこれから沢山の試練や、苦難が待ち受けているが、どうか、どうか、強く逞しく生きるんだ! そっ、それが父ちゃんの最後の願いだ……!」



『最後だなんて言うなよバカ野郎っつ!!』



「あっ、アルス……すまん、どうか許せ……」


『オヤジぃっつ!!』


「いいか、床下に……!」


「床下……!?」


「だっ、台所の床下に……うっ、ゲホゲホっ!!」


『オヤジっ……!?』

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