夢の終わり。

ーー目を覚ました時に全てが変わっていた。いつも通りの景色は一変して、まるで今まで夢を見ていたようなそんな錯覚に打ちのめされた。


 暗闇の中で噎せかえる煙の臭い、何かが焦げた嫌な臭い、人の血生臭い匂い、色々な臭いが空気中に混ざっていた。頭を強く打ったせいか、まだ意識が朦朧としていた。そして、自分の体に重たいものが乗っかっていたので不意に体を起こした。すると、自分の体の上に親父が血だらけの姿で覆い被さっていた。



「なっ……!? おっ、オヤジ……!?」



 親父は血だらけのまま、ピクリともしなかった。まるで死んでるかのように沈黙したきり返事をしなかった。


「うっ、嘘だろ……? オヤジ! おい、バカオヤジ! 返事をしろ……!」


 突然のことに驚くと慌てて起き上がり、血だらけの姿の親父に向かって必死で声をかけて、両手で体を揺すった。


「ふざけんよ、返事をしろ! おい、起きろオヤジ!」


 いくら体を揺すっても、なかなか返事をしなかった。突然の状況に頭が困惑すると辺りを見渡した。俺の部屋は、あの爆風で無惨にも半壊した。部屋に飾ってあったフィギュアも、壁に貼ったポスターも、パソコンも、机も、そこにあった何もかもがあの爆風で一気に吹き飛んで何も無くなっていた。


「うそだろ……? 俺の部屋が……一体、何が……?」


 漠然としたまま辺りを見渡すと、壊れた窓からは外が見えた。赤く真っ赤に燃えた火が街をチリチリと燃やしていた。いつも見慣れていた外の景色は、跡形もなく消えていた。まるで戦争ゲームに出てくるような、戦場みたい酷い有り様だった。

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