第77話 三善結生子(大学院学生)[2]
「
甲斐滝村というと、軽登山のガイドブックに出ているトレッキングコースをずっと行った先だったと思う。「甲斐滝村の
その村の古老の話に、それは科学的に説明できるんだ、と、わざわざつっこみを入れている編集部も、なんだかかわいい。
ところで、その「甲斐滝村の吊り橋」がなぜ有名かというと、もともと、あの
あの人たちは、軽く登山の装備をして、いまの条件でも駅から一時間以上かかるところに移住させられていたのだ。
それを考えると、その人たちの子孫が、自分たち
思うけれど……。
短くため息をついて、次に行く。
「その年の七月、
「大星降れり」を「大星ふれり」と読むのか「大星くだれり」と読むのかはよくわからないけど。
これ、あれだ。
流星群とかそういうのだ。
千菜美先生はなぜかそういうのにも詳しい。
前に、読んでいた文献に出てきた「
星は、生まれたときから光り始めて、その最期まで、一生、光を放ち続ける。子どものころにどこかから光を与えてもらって、後でお返しするというわけではないらしい。光をひたすら与えるばかりで、それで一生を終わる。
その説明が印象に残った。
で、この「大星」というのは何だろう?
あとできいておこう。
自分の専門以外で、千菜美先生の詳しい分野っていくつあるんだろうか……?
そういう疑問は後まわしにして、先を読む。
「同じ七月、
はあ?
また海鼠?
だから、なんでこんな記事がここに載ってるの?
話題が永遠寺の火災から海鼠にシフトした?
永遠寺のなんとか焼亡というのは、いまひとつ信頼性の高くない「岡下の麩商」の証言しかないのか。
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