第61話 三善結生子(大学院学生)[12]
「
先生が意見を言う。
「それは、そうなんですけど……」
たしかに、そうなのだ。同じ泉家でも、岡下と
その悪家老の
やり方はかなり強引だった。しかもこの悪家老は性格に問題があった。それも、非常に。
しかし改革家には違いない。少なくとも、ひたすら
しかも、この相良家というのは、九州の戦国大名相良家の分家を名乗っているけど、つまりは「よそもの」だ。たしかに旧家ではあるのだけれど、泉家家臣団のなかでは上から三番めくらいのグループに属していて、トップではなかった。
それが改革の主導者でいられたのは、やはり、岡平藩主家が改革に理解があったからだろう。
これに対して、支藩の岡下藩は何の改革もやっていない。
支藩は人事もほとんど
本藩に改革が必要だったのは、ご多分に漏れず、財政が赤字だったからだ。
では、支藩はそうではなかったのだろうか?
支藩は岡下という町一つだ。町に特産品があるわけでもない。
ところが、さっきプリントした史料の一つの「
岡下の町は豊かだった。
たぶん、本藩の岡平の町以上に。
この支藩の財政、どうなってたんだ……?
「ねえ」
甘えたような声だな、と自分で気づく。いまはそれでいいだろう。
「この
もし
お姫様がほんとうにいたとすれば。
そのお姫様をいなかったことにしたかったのは、お姫様を憎んでいたという讃州易矩だけではなかったのだ。
大膳
手紙から受けた印象では、たしかにみんな「いい人」だ。その従容は、行熾という藩主にとっては「いいお父さん」だ。
けれども……。
「うん……」
思わせぶりなしぐさで何をしな作ってるんだ……!
「まあ、それはまた考えましょう」
おもむろに言う。
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