(10) 出来損ないの娘達-4

「こちらは居室に加えて、作業部屋や厨房等が集約されております。食事もこちらで召し上がると良いでしょう」



そう言ってシュリードゥワリカは簡単に説明を添えながら、一定の速度で居館の通路を進みを続ける。


小さな前室を通った先は、大広間へと続いていく。"祝宴の大広間"と呼ばれるその場所は、統治と審判の中心であるとされ、客人をもてなす場でもあった。


奥行きは約40メートル、広さ300平方メートルはあるであろう。数百にも及ぶ椅子は整列され、台形の格子天井には王冠のようなシャンデリアが連なって吊り下げされている。


シュリードゥワリカは華やかな塗装の壁と流線型の飾り台の横を通り抜けると、舞台の端でその歩みをぴたりと止めた。続けて私へと振り返り、正面を向きなおして姿勢を正す。



一体、何時からそこに居たのであろう。

一瞬でも心に迫る、魂が奪われた様な重苦しさが体を突き抜けていった。


舞台には、一人の魔女が威厳に満ち溢れた顔付きで凛々しく佇んでいる。



原初の魔女の一人、カイルベッタ ウインターフロストは、淡い喜びが通ったように、目を細めるようにして笑っていた。

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