第6話

三つ子の勉強を教えている間中、ベットで眠る優也の大きなイビキに紗栄子は、イライラして何度か、行こうかとするが、その度に三つ子から「「「いいの、お父さんは疲れているから寝てていいの。静かにしないとダメなの。」」」と言う。

三つ子は前日の夜中ラインで優也に「おとうさんくろいゆうれいがまどのそとにいる。こわいよ〜」とラインを送ったからなのだ。

携帯電話を持たせてから紗栄子に勉強を習ってからは、ラインで「おとうさんおはよ」や「おとうさんおやすみ」のひらがなを習って打っていた。しかし、今回は文章に成っていた。

優也に夜中の1時過ぎにラインがあり、夜中に急いで病院へ向かったが運の悪いことに、この前病院から追い出した看護婦が受付にいて、入るのを断られたのだった。

優也は仕方なく電話を掛け「急いで病院へ向かったが受付で追い返されたから今は行けないが、その黒い幽霊に負けるな!3人で協力して、幽霊に負けない!絶対に負けない帰れ、消えろと思いながらにらみ付けてやれ」と言うと

「うん、分かったやってみる」と言って静かになりコチラからの呼び掛けにも返事がなかったが二十分程で三つ子から

「お父さんありがとう。黒い幽霊いなくなった。帰ったみたい、エヘヘへへ」と嬉しそうに言う。

「よかった、又何かあればラインか電話するんだぞ

明日は行けそうだから、またな。」

「うん、待っているね」三つ子はお父さんへラインを送るためにひらがなの猛勉強をしたのだった。

そういうやり取りを知らない紗栄子は

紗栄子が「お父さんのイビキがうるさいでしょ、勉強の邪魔だわ。帰ってもらおう。」

それでも三つ子は「「「ウウウン、うるさくないよ。お父さんはいいの、疲れているんだからいいの」」」

頑として優也の味方をする三つ子に折れてしまうが、優也のイビキに反応してつい、手に持っていた本を投げつけるのだった。でも、外れてベットの上の鉄格子に当たるだけであった。

1時間を過ぎた頃ベットの上の優也が寝返りをうったさい、マナの背中の腰の方を優也の足が蹴ったのだった。

「ギヤァァー」マナが大声で泣き出したものだから紗栄子の我慢の限界を超えたのだった。

病院中に響き渡り聞こえるかのような、どでかい声で『あ!な!た!何てことをするの!!!』

その怒鳴り声でも起きない優也はまるで返事をするかのように「ンガガガがー」とイビキをかく

今度という今度は絶対に許さないと椅子から立ち上がり、優也の方へ向かおうとするとカナとユナが立ち上がり行かせまいと抱きつくのだった。

「「いいの、ダイジョブだからマナも我慢して」」

涙をボロボロ流しながらグシャッとした顔でマナが「いいの、おがあざんマナがまんずる。ウッウッウっ、ングぅングぅ」と涙を流すマナを見て我慢ができないのだがカナとユナが何としても行かせまいとする。

「マナがこんなに泣いているのよ。お父さんを起こして帰さないとマナが可哀想でしょ。」

マナが涙を手で拭いクシャクシャの顔で、「お母さんいいの、マナ我慢するから。」そう言いながらも涙がポロポロ出てくるのだった。

カナとユナが「「お父さんはいいの、私達の命の恩人何だから、お父さんが居なかったら、私達生きていないんだから。」」

「いい、貴方達の命の恩人はお医者様なの、何でお父さんになるの、お父さんじゃないからね。」

「「「お母さんは、知らないだけだもん」」」

「何を知らないの」

「「「お父さんとの約束だから言えない。お父さんとの秘密だから言えないの」」」

紗栄子はイライラしてきた。私の娘達と優也が私の知らない約束や、秘密を持っているのが許せないので、なるべく優しくにこやかに「お父さんとは、どんな約束や秘密を持っているのお母さんにも教えて、お母さん寂しいな仲間外れにされて、」

三つ子は”さっ“と後を向き、聞こえないふりをする。お母さんに幽霊の事をバレたらきっと病院へは来なくなってしまうと考えたからだ。

それでも紗栄子はしつこく聞くと三つ子は困ってしまって泣き出してしまうのだった。

「ごめんごめん、言いたくなかったら無理して喋らなくていいんだからね。」紗栄子は反省して、(急ぎ過ぎたか後で優也をとっちめて聞くからいいか。)

話を変えようと「飲み物を買ったあとお医者様の所へ行ったら3人共、病気の具合がだいぶ良くなっていてお医者様が「奇跡だ、あり得ない」とビックリして言っていたわ。それでね今度家の近くで花火大会があるのね、その時に一日の一時帰宅が認められたの。楽しみだね。美味しいごちそう用意するからみんなで食べようね」

「「「うん、お父さんからさっき聞いた。お家に帰るの楽しみ、エヘヘへへ」」」三つ子の機嫌もよくなったので勉強を再開していると、ベットの方から

“ゴオン”「イテテテテ、オーイテ、エッ、何で俺、鉄格子の中に入っているんだ」そう言って優也は鉄格子の間に顔を突っ込み考えていると、後ろの方からクスクス笑い声が聞こえ、ゆっくり後ろを向くと

カナとユナが「「お父さん天罰が当たったんだよ、マナを蹴ったから天罰が当たったんだよ」」

紗栄子も「ザマァ見やがれ、天罰じゃ」と三つ子に聞こえないように、声を小さくして言うのだった。

マナももう痛みはもう無いはずだが涙をポロポロ流しながら「お父さんがマナのここを蹴ったの」と主張してくるので、優也はマナを抱きしめて、

「ごめんごめん、ここを蹴ったのか?」

「うん、ここを蹴ったの、すごく痛かったの」

優也はその腰の部分を擦りながら言う。「痛い、痛いの飛んでゆけ、」と取って入り口に投げ棄てる様子を3回やってみせるのだった。

「どう、まだ痛いかいゴメンね」

マナは満面の笑みで「治ったー」と言うと

カナとユナも立ち上がり「カナもするう。」「ユナもするう。」と優也のオデコのタンコブに手を当てて揉みながら「「痛い痛いの飛んでゆけー、」」と取って入り口に投げるふりを3回するのだった。

「「お父さん、どう治った。」」

まだ痛みはあるが「ありがとう、治ったよ」と三つ子のオデコにチューをすると殺気を感じその場所を見ると紗栄子が怒った表情で睨み付けている。

ヤバいと思った優也は、「お腹減ったから、帰ろうかなお母さん晩御飯は何かな?」

「さっさと帰れば、晩御飯の用意はしてませんので好きなものを食べて下さい。」少しトゲのある言い方で言うのだった。

「ジャお父さん帰るから皆んな勉強、頑張ってな」

「「「うん、お父さんまた来てね」」」

紗栄子が三つ子に聞こえないように、小さな声で「二度と来んな」とソッポを向くのだった

入り口に行きかけた優也はフッと思い出したように戻って来て「全員が揃うのはあまり無いから、写真を撮るね」そう言って三つ子の後ろに行き、

「お母さんもここに来て」と言って携帯電話て写真を撮ると今度は三つ子の両端に優也と紗栄子で挟むようにしてから「お父さんがマナのホッペにキスをするからマナはユナのホッペにキスしてな、ユナはカナのホッペにキスしてな、カナはお母さんのホッペにキスしてな」じゃ撮るぞハイ、チーズ”カシャ“

「今度はお母さんがカナのホッペにキスしてな、カナはユナにユナはマナにマナはお父さんのホッペにキスしてな」じゃ撮るぞハイ、チーズ“カシャ”

「今度は順番を変えぞマナがお母さんのところへ行ってな、ユナがお父さんのところに来て、カナは真ん中に来てな、こういうふうに後4回写真撮るからな」

「「「うん、分かった」」」撮り終えてからみんなで写真を見ているとカナが

「お父さん私達にも写真ちょうだい」そう言って前にあげた携帯電話を布団の下から出し、

「お父さん携帯電話貸して」と今写した写真を自分らの携帯電話に転送していると

紗栄子が「その携帯電話どうしたの。」

カナが携帯電話をイジりながら「お父さんに買ってもらったの、ラインもやってるよ。」と言い終わる前にユナとマナがカナの口を押さえ「「駄目でしょ、約束したでしょ、内緒だって、秘密だって」」

紗栄子はヒミツってコレだったのかと「お母さんもライン仲間に入れてね」

三つ子は困ったように、優也を見つめるのだった。

今にも泣き出しそうな顔で(どうしょう、お母さんもラインの仲間に入ったら幽霊のことがバレちゃう。お母さんが病院に来なくなっちゃう。)優也に助けを求めるのだが、紗栄子にバレたら隠しようがないのだ。

紗栄子は、「お母さんも仲間に入れてよ」とニコニコしてラインの仲間に何が何でも入るつもりである。三つ子が返事をせずに泣き顔で優也を見るが誤魔化すのは無理の為、三つ子に頭を立てに振りOkのサインを出すのだった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る