第5話

3日が経ち、土曜日の朝目を覚ますと紗栄子は朝ご飯と昼ごはんを用意して出かけたようだ。

紗栄子は、土日はアルバイトをやっていた為、それで居ないんだろうと優也は病院へ、お土産のカップのアイスクリームを買って持っていた。

カナはバニラが好きで、ユナはイチゴ味が好きで、マナはグレープ味が好きだから、後は自分用のチョコ味と足りないときの追加のコーヒー味にするかと決め、病院の担当医の元へ行き三つ子の現在の症状を聞き、今度家の近くで花火大会が開催されるようなので三つ子の外出許可をお願いしに行ったのだ。まだ一度も自宅に来ていない三つ子に家でノンビリ花火を見ながら過ごせたらなと思った為だった。

一泊の許可をもらい三つ子の病室のドアを開け、一歩入ったところで固まる。今日はいないと思っていた紗栄子がいたからだ。条件反射でつい足を引っ込めて病室から出てしまうと、それを見ていた三つ子にクスクスと笑われ「「「お父さん、どうしたの入ったら」」」と言われ、「あ、ああ勉強してたのか」

つい紗栄子の顔色を見てしまう。紗栄子はニコニコしているので大丈夫そうなので、入りベットに座り勉強している三つ子の背中の方のベットに座って、勉強の進み具合を見て、ビックリする。

勉強の基礎の(1·2·3·4····やあ·い·う·え·お)を勉強しているものとばかり思っていたら、足し算や引き算や漢字の読み書きをしているのだ。

「あの〜お母さんや勉強は、先ずは基礎から教えないとイケないと思うんだ。」

すると返事はカナがする「基礎は初日の午前中にとっくに覚えたわ」と生意気なことを言うので

カナの両脇を「ナマイキ〜」と言いながらクスグルと「キャッキャッ、キャッキャッ」笑いながらミモダエている。それを見ていたユナとマナが自分もくすぐられたいのだろう「「基礎は簡単だから、そんなもの直ぐに覚えたわ」」と生意気なことを言ってくる。

「ナマイキ〜」と言いながらユナとマナの二人の脇もクスグルのだった。ユナとマナも「「キャッ、キャッ、キャッ、キャッ」」笑いながら身悶える。

「じゃ、カナに質問な。この36+69=は幾つになるか分かるか。」

カナが「そんなの簡単だよ、え〜とね105だよ」

「正解、じゃユナはこの127−33=は幾つになるか分かるか」

ユナが「簡単だよ、これはね94だよ」

「正解、じゃマナは漢字かこれは何と読む“生きる”」

マナが「これはね、”いきる“と読むんだよ」

三つ子の吸収率には、ビックリするが生き急いでいるようにも見えて、少し心配になる。

「よし、頭を使ったあとは、脳みそが栄養を欲しがっているからアイスクリームを食べような。」

三つ子は嬉しそうに「「「うん、食べるー」」」

「カナはバニラな、ユナはイチゴ味な、マナはグレープ味な、」そう言って渡して、紗栄子の方を見ると嬉しそうに笑っているので

「お母さんは何を食べる。残っているのは、コーヒー味とチョコ味があるけど」

「じゃ、コーヒー味がいいわ」

というわけでチョコ味を自分が食べることになった。それも好きな味である。

みんなに木のスプーンを渡して、フタを外すとフタにアイスが少しついているため、舌で舐め取ると三つ子も真似をしフタを舐める。

それを見ていた紗栄子が、顔を真っ赤にして大きな声で「貴方、何てことをするの、そんな行儀の悪い事をしないでください。子供が真似するでしょう。」と睨みつけてくる。

ヤバイと思ったので、紗栄子から見えないように頭の後ろを見せて、三つ子たちに「いいか、お前たちこのことは行儀が悪い事で人に見られたら笑われるからやってはいけないぞ」と言いながらウィンクを何度もする。

三つ子達はニコニコ笑いながら「「「うん、分かった。フタは舐めない」」」と言ってくれて紗栄子も落ち着いたようだった。

三つ子達はアイスクリームを美味しそうにニコニコしながら食べている。半分を食べた頃、アイスクリームを買って食べるときのお決まりの一口頂戴のおすそ分けがはじまる。

自分の食べてるアイスクリームのチョコ味をスプーンでひとすくい取ってカナの口の前に持っていき

「ハイ、あ〜ん」と言って口を開けたカナの口に入れ「美味しいね」と言うと、ニコニコしながら

「うん、美味しいね」という。

また一口分のアイスクリームをすくい、ユナの口元へ持っていき同じようにし、マナにも同じようにする。いつもは居ないお母さんの紗栄子のにも一口分のアイスクリームをすくい、紗栄子に「は〜い、あ〜ん」と言って食べさせる。カナもユナもマナも互いの口に自分のアイスを分け与えて、自分にも「ハイ、お父さんの番」と言って食べさせて「美味しいね」と言うので

「うん、美味しいね」と言って返す。

最後にお母さんの口にも「ハイ、お母さんの番」と言って食べさせるが、紗栄子は、食べさせ合うというルールを知らないのかニコニコ笑っているだけである。

紗栄子に見えないように頭を後ろに向けて三つ子に「お母さん、コーヒー味のアイスクリームを独り占めして、一人で食べようとしているよ。コーヒー味のアイスクリーム食べたかったね。」と言ってウインクをして同意を誘うと

三つ子は「「「キャハハハハ」」」と笑う。

紗栄子は「違うわよ、ハイ」と言って三つ子の口にコーヒー味のアイスクリームを食べさせる。今度は自分の番と大きく口を開けて”あ〜ん“とするが、空のカップを見せて「もう、無いわ」と言って舌をペロっと出す。

「あっあ〜、嘘う。アイスクリーム食べたら喉が渇いたね」そう言って頭後ろを紗栄子に見せて三つ子にウインクをして合わすようにと合図を送る。

三つ子は分かってくれてニコニコしながら、「「「うん、喉が渇いた。」」」

「じゃ、お母さんに買いに行ってもらおうね。」とウインクをして「お母さん、飲みのもお願いね。」

「もう、仕方ないわね。」

「カナはオレンジジュース、ユナはイチゴジュース、マナはリンゴジュース、自分はコーラね。」

「分かったわよ、下の売店に行ってくるね」

「ついでに、担当医のところに行って3人の容体も聞いてきてね。」

「うん、分かったわ」

お母さんが出てから三つ子に、「担当医がお前たちの病気が良くなっていると奇跡だとビックリしていたぞ。それで今度家の近くで、花火大会があるから一泊だけど家に帰ってもいいと許可をもらったぞ。」

「「「本当嬉しいありがとう。お父さん」」」

「じゃ、お母さんが戻ってくる前にヒールの魔法を掛けるぞ、ベットに横になってな、ユナの治りだけ少し遅いみたいだからユナは、今度から真ん中じゃなくて、交互に端っこの方かお父さんの側に寝てな。カナ、今日はユナと代わってあげてな。」

カナが「うん、ユナ交代ね。」

ユナが「ありがとう。カナ」

三つ子の背中と胸の上に腕を回して今日は声を出して言う「治れ、治れ、治れ、治れ、治れ、·······グオー、ガアー、グオー」

「「「アハハハ、お父さん寝ちゃった。疲れているんだよ、きっと」」」

お父さんを起こさないようにゆっくり、ゆっくりとお父さんの腕から抜け出すのであった。

お母さんが戻ってくるまで三つ子は自主的に勉強を始めるのだった。

紗栄子は担当医から三つ子が奇跡的な回復を見せていることを聞き、お父さんがさっき来ましたよ。三つ子の一時帰宅も許可してますと言われ、花火大会で良い思い出を作ってください。と言われウキウキ気分で病室に向かっていた。

「もう、お父さんたら、良いことなんだからさっきのときに言えばいいのにもうー」

病室に入ると“ゴオー、ガアー、”と物凄いイビキの中三つ子は、勉強している。

イラッときた紗栄子は怒りの表情で優也のところへ行こうとするとそれを見て、三つ子はユナとカナが紗栄子に抱きつき、マナは紗栄子と優也の間に立ち大の字で行けないようにガードしている。

ユナとカナが「「いいの、お父さんはいいの私達の命の恩人なんだから、いいの」」

なんか、変なことを言っている。命の恩人はお医者様であって何でお父さんを命の恩人と言うのだろう。ユナとカナはガッシリ掴んでいるため諦めるしかなかったが気になった為

「何でお父さんが、あなた達の命の恩人なの」

三つ子はお父さんから秘密だから絶対に喋らないように約束させられているため、困ってしまって

「「「命の恩人なの!!秘密なの!!!」」」と謂うだけであった。

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