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夕飯の時間だった。今日のシフトは昼間のシフトだった。母は珍しく餃子を作った。カレーはまずいが餃子を作らせたら右に出る者はいない。母の餃子ほど美味しい餃子を食べたことがない。ホットプレートで焼きたての餃子を食べる。
「久しぶりの餃子はどう?」
「うん、美味しいよ」
俺は夢中になって餃子を食べた。
するとピンポーンとチャイムが鳴った。時計を見ると夜の8時だ。
「こんな時間に誰かしら」と母が玄関に向かた「どちら様ですか?」
「警察の者です」とドア越しから聞こえてきた。俺は意外と早かったなと思った。
「どんな御用件でしょうか?」と母は扉を開けた。そこには、前にもきた北野という女刑事と栗原という男の刑事が入ってきた。
「いったい何事ですか?」と母が云った。
「お子さんに逮捕状が出ています」と北野。
「え、逮捕状?」
「はい、地下通路の事件のことは知っていますよね?その犯人と息子さんはその犯人の可能性があります。ちゃんと逮捕状も持っています」
「なんで、うちの息子が疑われているんですか?」
「地下通路の入り口にある防犯カメラに息子さんが写っていました」
「それだけじゃ決め手にならないでしょう?」と母親。
「犯行時間に地下通路に入っていくのをカメラが捉えています。どちらにしても息子さんは重要参考人です」と北野が云った。「来てくれますね桐谷雅人くん」
「嫌です」と俺は云った。
「それは無理な話だ。逮捕状まで出ているんだからね」と栗原が云った。「さあ、来てもらおうか?外には機動隊も待機している。さあ、観念して一緒に行こう。何も、君が犯人とは云っていないだろ」
「僕がやりました」
「え?」と栗原が云うと俺はパワーを使って栗原の体を吹き飛ばした。肉片と血が部屋中に飛び散った。
しばらくしてから、母親が悲鳴をあげた。北野は、急に何かを思い出したかのようにスーツに隠してあったショルダーホルスターからリボルバー式の拳銃を出した「動かないで打つわよ」すると俺はまたパワーを使って北野を吹き飛ばした。再び悲鳴をあげる母親。
「母さん。静かにして。大したことないよこれくらい」と云うと階段を駆け上がる音が聞こえて足音が近づいてきた。透明なアクリルのような物で出来た縦を左手に持って右手にオートマチック式の拳銃を持った男たちが部屋に雪崩れ込んできた。そして、先頭にいる機動隊員が銃を連射した。弾は家具のガラスや壁に当たった。
俺はパワーを使って先頭の機動隊員、吹き飛ばした。体が一瞬にしてミンチになった。それを見た他の機動隊員はあまりにも想像を超えた光景に、動けなくなり、そのうちの1人が「退避」と叫ぶと部屋を出ていった。
部屋を見る。床、壁、天井に肉片と骨の一部がへばりついていた。床を見ると、母が倒れていた。最初はこのグロい光景を見てショックのあまりに気絶しているのかと思った。
俺は、母の肩を揺さぶった。しかし、反応がない。嫌な予感がした。すると、銃跡を見つけた。
「おい、母さん」と体を揺さぶるが反応はない。腕で脈をとった。脈は無くなっていた。
母の体を仰向けにして心臓マッサージを繰り返した。5分は続けただろうか、永遠に感じた。しかし、反応がなかった。
母は死んだ。急に、母との思い出がフラッシュバックした。母の男癖の悪さのせいで酷い目にもたくさんあった。だが、悪い思い出ばかりではなかった。休みの日は一緒に遊園地や映画に連れていいってくれた。カレーは不味かったが、毎日のように仕事が忙しい中、朝食、昼食、夜ご飯を作ってくれた。
俺は気づくと涙が出てきた。母が死んだことを実感できずにいた。
すると、外から、缶状の物が投げ込まれた。しばらくすると、その缶状の物が煙を出した。目と喉に刺すような刺激を感じて戻しそうになった。奴らを許せなくなった。
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