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 バイトが終わって駅に向かった。

 ホームに着いたところ、水川と高橋の姿がなかった。

「今日は水川さんと高橋さんは調査ですか?」

「今日は2人とも休みだよ。風邪をひいたらしい」と霧島がMacBookProを凝視しながら云った。

「風邪ですか?もしかしてコロナですかね?」最近コロナの第10波が来ているとニュースになっていたからだ。

「さあね。そこまではわからない」

「もしかして、2人でデートかもよ」と杉浦が云った。

「おい」と霧島がいうと、杉浦がバツの悪そうな表情をして黙った。

「まあ、偶然だよ。偶然。なあ、早速だけど新しい獲物を探してくれ」と霧島は云った。

「はい」と俺はソファーに座りMacBookAirを開いてSNSのアカウントにアクセスした。杉浦の言葉が頭から離れない。集中できなくなった。確かに同じタイミングで休むなんて変だ。俺は水川が言っていた言葉を思い出した。「好きな人はいる」という言葉。あれはもしかすると本当に高橋のことなのではないかと思い始めた。二人が付き合っていたらどうしよう。

 高橋が相手なら勝てるはずもない。あんなナイスガイ、なかなかいない。どう考えても俺なんか太刀打ちできる相手ではない。

 急に気分が落ち込んだ。どうせ、高橋がいようといなくても相手にされない運命だ。だがいざ本当に2人が付き合っているとしたらきっと絶望するに違いない。

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