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俺は、新しいギターと腕時計を買った。ギターは前から欲しかったネットの中古サイトで買ったFender JapanのJazzmaster。
それから同じく中古で買ったスウォッチの黒い腕時計だ。どちらも親にはバレていない。JazzmasterはMustangに比べてデカくて最初は弾きにくかったが、すぐに慣れた。クリーンで弾いた時の独特のキラキラしてジャキジャキとした金属音が、とても弾いていてとても気持ちよかった。スウォッチは誰も誰も気づかなかった。逆に悲しくなった。手元には80万近く残った。まだ、全然金銭的に余裕がある。なので、鈴木を焼肉に誘った。
少し高めの焼肉屋の食べ放題に鈴木を呼んだ。店内は比較的綺麗だが焼き肉の煙で充満していた。
「おい、お前の奢りで焼肉なんてどういう吹き回しだ?金は大丈夫なのか?」
「まあね。臨時収入が入ったから大丈夫さ」
「臨時収入てなんだ?」
「秘密さ」
「まあ、今日はゴチになります」
「ああ、好きなだけ食べていいぞ。食い放題だから」
「そうするよ」
好きは焼肉を黙々とを食べた。
「なあ、そういえば藤浪さんに聞いてくれたか?LINEの件?」
「ああ、聞いたよ」同じシフトの時に藤浦さんに事情を説明した時に聞いたのだ。
「それで?」
「彼氏がいるからダメだってさ」
「マジか。まあ、仕方ない。別れるまで待つしかないな」
「すごいなそのマインド」
「そうか?恋愛は長期的にみる必要があるんだ。だから、彼女が別れるまで俺は諦めないぞ」
「なるほどね」鈴木の心の強さに感心した。
「それで、お前の方はどうなんだ?何か進展でもあったか?」
「いや、全くないよ。相変わらず謎の多い人だ」
「そうか、早いうちに行動に移したほうがいいぞ」
「どうせフラれる遠慮しておくよ」
「でも、よく考えてみなよ。告白してフラれるより、告白しないで新しい彼氏ができたほうがキツくないか?
「そうか?どちらも同じだと思うがな」
「お前は相変わらず内向きだよな」と言いながら鈴木はカルビを口の中に放り込んだ。「恋愛ていうのは運とタイミングだぜ」
「なんだかこの前と言っていた事と真逆の事を言っているな?」
「そうか?」
「玉砕したほうが次に行けるて言っていたじゃないか。その割には藤浪さんにフラれても、彼女の事を諦めてないじゃないか」
「まあね、考え方が変わったんだ。下手に鉄砲を連射するより、一生懸命狙いを定めて撃ったほうがいいて思うようになったんだ」
「なるほど」確かに鈴木のいうことにも一理ある。そうだ今度水川を食事に誘おう。だが、成功する自信がない。それに、彼女に俺の気持ちがバレると気まずくなる気がした。
「なあ、告っちゃいなよ。うまくいくかもしれないぞ」
「他人事だからそんなこと言えるんだよ」
「まあな。でも告白したからって減るもんじゃないんだし。それに、相手も薄々気付いてるんじゃないか?」
「そうか?」
「お前は態度がすぐに顔に出るタイプだからな」
「そうか?」
「ああ、すぐにわかる。俺ですらわかるんだから、感のいい女はすぐにわかると思うぜ」
「そんなもんかね?」
「そんなもんだよ」
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