13

相変わらず学校ではイジメが続いていた。俺は抵抗しなかった。というよりは抵抗できなかった。早く俺をイジメるのに飽きて他の誰かがターゲットになるのを待つしかなかった。家で引きこもることを考えたが、そんな折に最悪な事態が起きた。菅がリストラにあったのだ。深いことは知らないが会社の業績が傾いたのが原因らしい。

 なので、家に帰ると菅の顔を見るハメになる。しかも、失業したショックからか、俺は勿論のこと母親にもいつも以上に当たりが激しい。朝からビールやストロング系の酒を飲んで常に酔っ払っていた。

 俺は、これがチャンスだと少し思った。母親が菅を捨てる可能性が出てきたと。しかし、母はそんなそぶりを見せなかった。母はむしろ、菅に対して同情し献身的に支えるつもりだと感じた。

 学校にも家にも居場所がない。小学生の時もそうだった。逆戻りしてしまった。

 いっそのこと1人で暮らそうと計画した。調布にはおじいちゃんの家がまだある。おじいちゃんは糖尿病が改善したが、ボケてしまって今は、養護施設に入っている。おじいちゃんに相談して、おじいちゃんの家で1人で暮らせてもらえないかと相談すべきだろうか?だが、きっと母親は許さないだろう。

 どうしたら良いか分からなくなってきた。こんなのあの事件以来だ。そのうち、自分が壊れてしまのではないかと不安になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る