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イジメにコンビニのバイトにと今日もヘトヘトだった。だが今日は金曜日だ。明日は休み。家に帰ったら、久々にNetflixかAmazonPrimeで映画でも観ようと思った。
鍵穴に鍵を入れて回してドアノブを回すと鍵が開かない。鍵のかけ忘れか、珍しく母親でもいるのかと思い再び鍵穴に鍵を入れて回して部屋へ入った。ダイニングのダイニングテーブルに母親と2人がいた。見覚えがある2人だったが具体的には思い出せない。
「あら、帰ってきた」と母が言った。
「ただいま。お客さん?」
そうすると2人は軽く会釈した。女の方が口を開いた。「覚えていますか?私たちのことを?」
そうだ、あの刑事の2人だ。しかし、なぜ2人がいるのか理解できなかった。事件後10回は取り調べを受けたのに今更何を聞きに来たのだろうか。
「はい、あの時の刑事さんですよね」
「はい、そうです」
「雅人くん。大きくなりましたね。いや、もう15歳?16歳?」と男の刑事、栗原が言った。
「16歳です」
「そうか、彼女できた?」
すると北野が咳払いをした。
「すみませんね。こんなに遅くに家に押しかけちゃって」
「いいえ、何かあったんですか?」
「実は4年前の事件についてもう一度聞きたくて」
「え、なんでですか?事件は解決したんじゃないですか?」
「実は、まだ報道されていないですが、同様の事件がありましてね。何かの参考になればと思い話を聞きにきたんです」
「同じ事件ですか?」
「そうです。今度は世田谷区で起きました」
「それで、何が聞きたいんですか?」
「あの時、周りにもう1人いませんでしたか?」
俺は、あの時の記憶がフラッシュバックした。あの男の目とあの謎の紫色の半透明のナマコのような生き物。
「いえ、見てません」
「なるほど、やはりそうでしたか。実は当時から犯行の手口から、実は複数犯の可能性があると言われていたもので。もしかしたら、今だったら何か思い出すかと思いましてね」
「いいえ、あの男以外は見ていません」
「そうですか。わかりました。何か思い出したら電話をください」というと北野と栗原から名刺をもらった。
それから2人は家を出ていった。
「複数犯だったのね」と母がポツリといった。
「分からないさ。模倣犯かもしれない」
「それにしても、9時を回っているのによく人の家に来れたものだわ。全く、迷惑よ」
母に同意した。しかも、いきなり来るなんて警察は一般常識がないと思った。
「ねえ、今日のご飯は?」
「今日はカレーよ」
またカレーか。しかも、美味しくない。なんだか気が滅入った。
夕飯を食べ終わると、部屋へ行きMacBookAirを開いた。Chromeを起動して「世田谷」「殺人事件」と打ってみた。すると、さっき刑事が言っていた事件と思われる記事が出ていた。それは一家惨殺事件だった。犯行の手口は書いていないが、恐らくこのことだろう。
模倣犯かそれとも偶然か。模倣犯となるとあのような殺し方ができるのは恐らく難しいだろう。となると、同一犯か?
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