第5章

ミズーリオが仕事をしていると、泰山府君が雑務地獄を行う者から何やら報告を受けた。泰山府君はすぐさまミズーリオに伝えた。

「閻魔王様。来客でございます」

「来客・・・一体誰だ?」

「天国の代表者、女神様でございます」

「女神・・・」

「私もお迎えに同行いたします。参りましょう」

「仕事は止めていいのか?」

「この札を置けば大丈夫です」

泰山府君は『急用』と書かれた札を置いた。ミズーリオは奥の部屋に行った。泰山府君は肉を投げ、ケルベロスが一目散に肉を狙い、場所を移動した。すると、一つの扉が現れた。

「この扉は?」

「こちらの扉は、獄間の扉でございます。この先は狭間の空間に繋がっております。そこにある扉の先が天国に繋がっております。普段は侵入者から犬に守らせておりますが、女神様が来られるので、どかせたのでございます」

「そうか」

ケルベロスは必死に肉に食らいついていた。しかし、食べるのをやめ、獄間の扉の方に向いて吠えだした。扉が開くと、中から白い衣に包まれた者が現れた。(女神と聞いて、まさかと思ったが、本当にアナスタシア姉さんだった。)

「女神様。ようこそ地獄へお越しくださいました」

「話に入る前に、そのワンちゃんの警戒心を解くわ」

アナスタシアは手を振った。すると、白い光のようなものが舞い、ケルベロスに降りかかった。

「キュー」

「よしよし。いい子ね」

肉に食らいつくケルベロスの頭をアナスタシアが撫でた。

「さて、本題に入ろうかしら。閻魔王は背の小さい方で合ってるわね?」

「そうだ。ところで、姉さん記憶はあるか?」

ミズーリオは思い切って聞いてみた。

「記憶?生前の記憶ならあるわよ。和尚様に聞いてサプライズ登場したじゃない」

「そうか」

「どうしたの?」

「いや、あの時はありがとう。それで、話って?」

「その事なんだけど、単刀直入に言うわね。地獄の強者7人を揃えてほしい」

「強者7人・・・どうして?」

「単刀直入に言うと、その7人には、現世に生きる強者を淘汰してほしいのよ」

「淘汰?倒すということ?」

「そう。私は『環境の変化に適応しきれない動物は淘汰される』をスローガンに掲げ、現世で災害を起こしているのよ。訳は話すと長くなるから聞かないで」

「分かった。強者7人を集めればいいんだね?」

「そう。名づけて”ヘルセブン”よ」

「でも、言うことを聞いてくれるかな?」

「大丈夫よ」

アナスタシアは天国へ帰っていった。その後、ミズーリオは地獄めぐりの成績優秀者の上位七人を集めた。右からハイ・ストール、ワスプ・シャウト、ロック・メガ、カトリーナ、ジョン、ジョンの右腕ライトサンダー、ジョンの左腕レフトボディがいた。

「見覚えのある者たちが揃ったな」

ハイ・ストールが言った。

「拙者は何のために集められた?」

ミズーリオは答えた。

「君たちは現世に生きる強者を淘汰する任務を行う。名づけて”ヘルセブン”だ」

カトリーナが言った。

「へるせぶん?そんな任務やらねえ」

ミズーリオは答えた。

「任務を怠ったら、君たちは永遠に地獄めぐりをしてもらう」

ロック・メガは言った。

「それは勘弁してほしい。やるしかない」

「ヘルセブンは階級制だ。上からエンド、クロノス、シヴァ、ハーデス、アシュラ、サタン、デビルだ。今ここにいる右からその名前で任務に当たってくれ」

「俺が一番に任務を終えてやるぜ!」

「おれが先だ」

ヘルセブンの六人はすぐにいなくなった。一人残ったハイ・ストールは言った。

「拙者はここに残る。任務を怠るから地獄めぐりをして来る」

ハイ・ストールは地獄の獣と戦える闘技場へ行った。(まあいいか。)ミズーリオは仕事をしていると、泰山府君が手を伸ばしてきた。(来たな。)気づくと、白黒の何もない空間にいた。

「メフィラス。5つ目の宝玉は出現したか?」

「コノ通リココニ五ツアル。即チ、残リハ幾ツカ分カルカナ?」

「馬鹿にするんじゃない。残りは2つだ」

「正解ナノダ。但シ、コノ二ツハ今マデ通リニハイカナイダロウ」

「それはどういうことだ?やり方を変える必要があるのか?」

「ソウデハナイ。今マデノヨウニ簡単デハナイトイウコトナノダ」

「それはどうすれば上手くいく?」

「ソレハ自分デ確カメルノダナ。デハ、サラバダ」

ミズーリオは戻ると、泰山府君に言った。

「また代理を頼めるか?」

「勿論でございます」

ミズーリオは奥の部屋に来ると、ライトサンダーがいた。

「閻魔王様。報告いたします。リンク島の道場の師範、強者ウィンチェスターを倒しました」

「報告ありがとう。引き続き任務に当たってくれ」

「御意」

ライトサンダーは現世の扉を開けて出て行った。

「実際に会ってみないと分からない」

ミズーリオは扉を開けた。

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