綿の原

わたはら 映すは遠い 玉兎

銀の河面も 波の隙間に


黒い音 締まる指から 響く脈

膨らむ血潮も かすみに溶けゆく


古傷も弄れば 朱い水が出る

すすれば それも私の血肉


ぐつぐつと 煮え立つ胸の 奥のワタ

ぐるぐる回して この首がフタ


わたの原 十字に斬れば 紅い道

きらめく星は とどけどとおく

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冷えた藍に沈む実は おくとりょう @n8osoeuta

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