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「な・・・なんで?」
眉をひそめ、目の前の藤澤さんから目を逸らす。
「受賞式のスピーチで言ってただろ?
“何でも構いません、どんな内容でも良いので”って。」
「それは・・・そうですけど・・・。」
「なんだ、アレ嘘だったんだ?
俺すげー感動したのに。」
そう言われると、何だか私が悪いような気もしてくる・・・。
でも・・・
「いつもみたいに、他の女の子にすればいいのでは・・・?」
私の言葉に、藤澤さんが面白そうな声で笑ったのが聞こえた。
「他の女の子には、もうしない。」
私は驚き、藤澤さんを見上げる。
「花崎さんがいい。
花崎さんだけがいいから・・・。」
希望で満ち溢れた目で、そこに静かに揺れるような熱を込めて私を見詰める・・・
「確認させてよ、着けてるだろ?
うちの商品・・・。」
「・・・っっ」
ゆっくりと伸びてきた藤澤さんの両手が、私のワイシャツの盛り上がりに少しだけ触れた・・・
「他の女の子達への対応・・・これで問題ないだろ?」
そんな・・・私の発言を用いて、この“王子”は私に告げる・・・
私には“人権”などないのだと・・・
こんなパッとしない、つまらない女には・・・
“人権”など、ない・・・
「花崎さん・・・いい?」
私のワイシャツの膨らみに少しだけ触れたまま、身体をソッと寄せながら私の耳元で聞いてくる・・・
「・・・っっ!」
藤澤さんが唇を私の耳に少しだけつける・・・
全く分からない、感情・・・
でも、それは恐怖に似ている感情・・・
そんな感情が込み上げてくる・・・
固まっていた両手を動かし、大きく震えながらも藤澤さんの胸を押す・・・
「少し・・・考えさせてください・・・」
小さな声で、やっと絞り出した声・・・
“人権”のない私が、“王子”に意見する・・・
「うん・・・返事待ってる。」
藤澤さんがゆっくりと私から離れ、会議室を出ていった・・・。
全く分からない、恐怖に似た感情が込み上げている私の身体を、強く両手で抱き締めた・・・。
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