2
「花崎さんの授賞式、見たかったな~!」
「私も!!シフト合えば行けたのに・・・。」
打ち上げパーティーから数日後、店舗の店長である本間さんと上ノ園さんが居酒屋の席で言った。
店舗に社員やパートを採用する際、私はなるべく店舗を訪れしっかりヒヤリングをするようにしている。
その他でも何度か会うようになった、比較的会社の近くの店舗にいる2人。
ざっくばらんに現場のことを教えてくれるので、こうして定期的に情報収集をしている。
「今回、ダブル受賞だったんでしょ?」
「そうですね、営業部の藤澤さんです。」
「藤澤さんだと納得。
私あの人の担当エリアの店舗だし。
凄い仕事熱心だよね?」
そんな質問に、私は普段の藤澤さんの姿・・・
あの、女の子達の胸を確認する姿を思い浮かべる。
「仕事熱心ですね、困ってしまうほどに。」
そう言いながら、イチゴミルクのカクテルを少しだけ飲む。
「藤澤さん、私は見たことないんだよね。
“王子”でしょ?」
整った顔と爽やかな雰囲気で、一部の女の子から“王子”と呼ばれているのは知っていた。
その“王子”が、この前の打ち上げパーティーで壇上に上がったことにより、本物の“王子”となったらしい。
「花崎さん、ど~お?
キラッキラの王子様、興味ある?」
「全くないですね。」
「早い!返事早すぎだよ!!」
そんな2人の笑い声が響く。
そんな中でも、現場で働く人達のリアルな声を聞かせてくれ、今後の書類選考や面接で生かせる情報収集が出来た。
“全く興味ない”
そんな風に答えた、翌日・・・
この、全く意味の分からない展開・・・
「な・・・なにを・・・?」
会議室の中・・・
冷房で冷えたヒンヤリとした壁を背中に感じる・・・
私のすぐ目の前には、藤澤さんが・・・
希望で満ち溢れた目・・・
そこに、静かに揺れるような熱を込めて・・・
「花崎さんの胸、確認させて?」
と........
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます