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仕事を終え、スーパーの袋を持ち一人暮らしの部屋に帰る。
扉を開けると、好きな香りが私を包んだ。
それに癒されながら、キッチンを通ったらすぐそこにある部屋に入る。
クローゼットの前でワイシャツを脱ぎ、スカートとストッキングも脱いでいく。
そして、全身鏡の前で自分の姿を見る。
パッとしない茶色っぽい髪の毛、
肌は白くてぼやけているみたい、
目も、鼻も、口も、全てがパッとしない。
そんな、つまらない顔。
仕事では上司から嫌味を言われ、他の女の子達からは疎まれる、パッとしない毎日。
そんな、つまらない生活。
友達と呼べるような友達もいない。
勿論、彼氏なんていたこともない。
そんな、つまらない女。
花崎 恵美(はなさき めぐみ)
“花が咲くような恵まれた子になるように”
そう付けてくれた素敵な名前。
お父さん、お母さん、ごめんね。
私は何にも恵まれてない・・・。
こんな、つまらない女になってしまった・・・。
泣きそうになった時、全身鏡に映るソレを見て泣くのを止めた。
つまらない私が、1つだけ大切にしている物・・・。
ソレに、ソッと手を添える・・・。
ピンクの可愛い花が散りばめられた、フリルが沢山ついているブラジャーと下着・・・。
つまらない私が、1つだけ大切にしている物。
パッとしない私には似合わないような可愛いデザインでも、下着なら、どんなに可愛い物だって着たっていい。
これだけ、これだけが、つまらない私を少しだけ特別にしてくれる物・・・。
だから、こんなにパッとしない私が、ランジェリー会社に入社をした。
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