第3話 高嶺の花過ぎると思うよ
黒木さんと出会った春休みは気が付いたら過ぎ去り、ついに高校生活が始まった。
あれからも数日置きに僕は黒木さんと会ってはカードゲームをしたり、あの店に置いてある本の話をしたりしてそこそこ仲良くなっていた。
入学式が終わり自分の教室に入って周りを見渡すと自分の顔見知りを見つけた。
「凛!同じクラスだね」
「凛も来たか3人とも一緒のクラスで良かったぜ」
そう言って声をかけてきたのは、同じ中学から進学してきた仲の良い二人だ。
一人は渚優希と言う女の子。ポニーテルの外見は可愛らしい少女だ。
もう一人は御手洗大輝、ザ・イケメンと言うべき外見の少年だ。
「そうだね、びっくりするくらい綺麗に揃ったね。というか優希とは高校でも一緒のクラスなのか…」
「これで何年連続同じクラスだろうね、中学校から一緒だしこれもう運命でしょ」
「お前らほんとクラス被り続けるよな〜、小学生の頃から違ったことないんだろ?」
HRが始まるまで時間があるため、そんなどうでも良い話をしていると一人の少女が入ってくるのが目に入った。
綺麗な長い黒い髪、綺麗な吊り目、頬にある泣きぼくろの…黒木さんだ。
黒木さんと同じ学校なのは春休みのうちにどこの高校に行くかと言う話題が出てその時に知った。そして密かに凄い喜んで同じクラスにならないか期待していて、名簿で同じクラスなのを確認した時には心の中で小躍りまでしてしまった。
「どしたの凛?うわ綺麗な子」
「へー可愛いじゃんあの子」
制服姿の黒木さんは新鮮で目が釘付けになってしまった。彼女は僕の席より離れた教室の隅の窓際に着席した。隣の席じゃ無くて残念に思ってしまうのが我ながら恥ずかしい。
「りーん、ねえあの子がそんなに気になるの?」
「まさか一目惚れか?」
優希にジト目で睨まれ大輝にからかわれる。
「いやいやそんなんじゃ無いって!」
「うーん凛には高嶺の花過ぎると思うよ。」
「いやだからさぁ…うん、いや確かに高嶺の花だとは思うけど…」
「凛はね、私くらいのレベルの女を目指した方がいいよ」
まるで僕が黒木さんとは釣り合わないとでも言うように優希に言われる。
「いや外見だけなら優希もレベルは高いと思うから大差ないと思うけど…」
優希もとても可愛い容姿をしていてクラスの男子の何人かはチラチラとこちらを見ている。
「そ、そう、ありがとうね……けどさ外見"だけ"って言うのは余計じゃない?」
優希がわざとらしい悲しさを滲ませてくる。
「じょ、冗談だよ冗談、そんなに落ち込まないでよ」
「あーあ凛泣かせたー、女の子はもっと大切に扱えよ」
「いや今更女の子として扱えって言われても…優希は僕にとってはきょ…」
「それ以上言うな、そういうとこだぞお前…」
「いやどういうとこ?」
そんな僕らにとっては普段通りな感じのやり取りをしながら、密かに黒木さんに話しかけるタイミングを伺っていた。けどやっぱ店以外で話しかけるの恥ずかしいなとか、いざ声かけると言ってもどう話しかけようとか、そんなこと考えている内に先生が入ってきてLHRが始まってしまった。
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