第5話 話し合いを楽しむ

 私は今、長いテーブルの前に座っている。

 周りには王族一家の方々がいる。

 結婚を前に話し合いをしたいらしい。


 「話を始めよう。」


 切り出したのは王様だった。


 「今日は我々の身分など気にせずに話してくれ。レン殿?」


 「は…はい…」


 「フフ。そう緊張しないで。」


 そんなこと言われても…

 王族だし、容姿端麗一族(父親を除く)に囲まれて心臓バクバクだよ…


 「自己紹介が遅れたな。

 私は、エルメイア王国12代国王"ヴァルレッド・エルメイア"だ。

 隣にいるのは…」


 「アリシティア・エルメイアよ。

 よろしくねレンちゃん。」


 「はい…よろしくお願いします…」


 今いる国ってエルメイア王国って言うんだ…


 「そして私の子である、アルフレッドだ。」


 「アルフレッド・エルメイアだ。

 レンこれからよろしくね。」


 何その王子様スマイル…眩しい!


 「あと、僕の下に一人妹がいるんだが今は用事で国外にいる。今度紹介しよう。

 これからはより良い関係を築いていこうねレン。」


 「はっ…はい…」


 何この人…押しが強い…

 わざわざ名前を呼ばなくても…


 ここまでの会話でほぐれてきていた部屋の空気(私以外)が王の一言で張り詰めた。


 「では、本題に入ろう。」


 今まで緊張でこわばっていた体に更に力が加わるのがわかる。


 「あの…どんな話をするのですか?」


 「ああ、そのことなんだが…

 本当に良いのか?半ば強引に誘ってしまって…」


 あっ、そのこと自分でも気づいてたんだ。


 「いえ。それは別に良いですよ。」


 ここで断ったら国からの援助の話がなくなってしまうかもしれないし、この城の中で王様の提案を断りでもしたらどんな目に遭うかたかが知れてる。

 でも私には夢がある。異世界に行ったらやりたかったことだ。


 「でも、条件があります。」


 「ああ。私にできることならばどんなことでもしよう。」


 「私が異世界から来たってことは皆さんわかってるんですよね?

 私、異世界に来たらやりたいことがあって、その一つに冒険者になるって夢があるんですけど…

 どうでしょうか?それに、他にもたくさん。それができるのなら申し出を受けたいと思います。」


 言ってやったぞ!

 やりたい事。私は本気だぞ。どうだ。


 以外にも反応したのは奥さんの方だった。


 「冒険者になるってとても危険なことなのよ!本当に言っているの?」


 「はい!やりたいってずっと夢だったので!」


 「でも、冒険者なんて…」


 「いいじゃないかアリシティア。やりたい事をやらせてあげれば。

 異世界人世界を超えし者のスキルも持っているしな。」


 「……それもそうね。」


 昨日も聞いた単語だ。

 一体何なの?


 「あのっ『異世界人』って何ですか?」

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