第11話 侵略遊戯、その3脱出ゲーム開始

怠惰のゲームから6日後、暴食のゲームを始めます。

あなた方人間にはここから脱出してもらいます。


そこは一本道。


まっすぐ行ったとしても行けそうにない。

なぜならデカイ蠅が一本道の奥の扉の前にいた。


俺達を見ながら羽を動かしている。


直線で突っ込んだら死ぬ。

そこまでに左右に扉が4つずつの合計8つ。

蠅の近くに左右に一つずつ扉がある。


こちらにも扉が左右に一つずつ。


チッ、ウザッタイナ。


「朝未君、なんでここにいるのよ。」

「俺もそれを聞きたい。なんでここにいるんだ古都音。」

生きているんだから会うとは思っていたけどな。

「ここが生存率高そうだったからな。」

「そうだね。」



「君達人間はもう逃げられない。僕を倒さない限り。」

誰も言葉を発しない。

通知がないってことはあいつの言葉が真実とは限らない。


「どっちに逃げる古都音。俺は左。」

「朝未君を信じる。」

俺は古都音を驚きの顔で見つめる。

「お願いね、朝未君。」

古都音の顔はまだ箕郷の死を受け止められない顔だった。

今は涙が枯れてしまっているのだろう。


「わかった。俺を信じてくれ。」


俺と古都音は左の扉をあける。

閉めることはしなかった。


その先には同じような8つの扉と一本道。

「また、扉。」

どれにするか考えないとか。


手前の一個の扉を開けると部屋があり下へと続く階段があった。そのため下へと降りる


その階段は螺旋状になっていたが段差を繋ぐ縦板がなかったため下を見ると底無しのように暗い。


俺は古都音に大丈夫か聞く。

大丈夫と古都音は言ったが朝未はそれが嘘だとわかった。

足が震えて顔が強ばっている人が大丈夫なはずがない。


大丈夫と言われて大丈夫と言う人が大丈夫なはずがない。となにかで言っていたが本当にその通りなんだなと思った。


大丈夫という言葉が使い勝手が悪いとも言える。

怪我や病気でどこか痛くても大丈夫と聞かれて大丈夫じゃないという人はほとんどいないだろう。

本当に大丈夫な時と心配させないために嘘の大丈夫という言葉を使う。

この二つが混在している言葉だからだ。

嘘を見抜くのはなかなか難しい。

その言葉が真実であるときがあるからだ。だからもっと踏み込み痛みはないかや違和感がないかを聞くのだ。


そういう人はそれを聞いても大丈夫というだろう。そういう場合は見抜くしかない。

しかしその嘘を見抜くのは難しい。

だからこそ甘えることが大切なのだろう。

わざわざ心配してくれているのだその気持ちに素直になっても良いだろう。

迷惑かも知れないが、それは相手が考えることでこちらは辛かったら辛いと正直に言ったら良いのだ。


などと考えていると、朝未君と呼び掛けられた。

階段も知らない内に二段下がっていた。


「どうしたの。」

と尋ねた。返ってくる言葉は大体わかる。

なぜなら大丈夫と心配してくれた人がなにも言わず階段を下っていくのだ。

そんな人にいうことは決まっているだろう。


「朝未君、大丈夫。」

予想していた通り心配された。


心配していた人に心配されるって大丈夫なのか。

結構まずいのではないのだろうか・・・。


そんな自信をなくす疑問はさておき、前に進もう。


「俺は大丈夫、考え事してただけだから。それで古都音、少しは落ち着いた。」

なに言ってんだろうと古都音は思った。


それもそうだ、心配してくれた人が物思いにふけって先に進んでいく人に心配したのと先が見えない心配で不安が悪化した古都音に落ち着いたと聞いた朝未。


朝未は古都音の隣に座った。


「眠いの、朝未君。」

「最近ずっと眠いんだ。」

「そうなの。」

ふあーとあくびをする朝未。


こんな所で寝たくもないし居続けたくない。


「古都音、ここに居続けてもなにも始まらないから先に進もう。」


            ・・・


下に階段を降りていく古都音と朝未。


下へ進んでいくと明かりがなく段々暗くなっていく。


本当の闇に進んでいくような人に食べられており死ぬのではないのかと思う空間。


螺旋階段で下の階にやってきた二人。


下の階には扉があった。

扉を開く。


部屋があったが体育館ぐらいの広い部屋。

人々が二人から見て左の扉からやってきた。

そこへ向かう二人。


みんな顔面蒼白でなにかに怯えていた。


扉を閉めろ!と叫ぶ声がして扉を閉めた。

まだ人が外にいるのに扉が閉まった。


俺は扉を閉めた人に聞く。なぜ扉を閉めたのか。

扉を閉めたのは女で聞くが答えてくれず。


俺を睨み付けて逃げるように俺達がやってきた方向へ向かおうとしていたが古都音を見て連れ去ろうとした。

なにするんだと言って、やめろよ!と叫ぶと女は去っていった。

俺は疑問に思ったが外から叫び声が聞こえる。

外で人が食い殺されていく様子が見えた。

俺は息を飲んだ。


扉が閉まられたため外に取り残された人々の前にはハエの顔をした巨人がそこにはいた。


扉の外に目がビッシリ俺を見つめていた。


俺は固まってしまった。それは古都音も同じだった。


俺は古都音を連れて後退る。

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