第2話 日常2

朝未はニヤニヤと笑って2週間を過ごした。


「おはよう、朝未君。」

朝未は古都音の全身を眺めた。

白いトップスに青いジャケット、緑のロングスカートを着ていて、ヒールを履く古都音さん。


「おはよう、古都音さん。これから劇場行くのにヒール履いてきたの。」


「ええ、ダメだった。」

上目遣いで左腕に右手を当て朝未に聞く古都音。


「いや、いいけど歩くから大丈夫かなって。」

嬉しい。

「心配してくれたのね。」

笑って微笑みそう言う古都音はクラシックの一曲のように緩急があり迫力があった。


その力に負けて自分も笑った。


そして、電車に乗り込み。

学校のことや最近あったことの話をしていると時間が過ぎていき劇がある場所の近くの駅についた。


もう9時、もうすぐ時間だ。


後1時間も経てば劇が始まる。


「古都音、この劇さ。なんなの。俺知らないんだけど。」

「知らないのに劇来たの。バカじゃないの。」

「そうかもしれないけど、なんで盗賊なのか気になってね。」

「家族を養うのには仕方なかったのよ。」


青い宝石はダイヤモンドを作ることができる宝石。

それを盗むためにやってきたの男。

彼は祖国に住む家族にいい思いをしてほしいためにやって来た。

そんな男を見つけた結婚詐欺師。

彼らの盗みと恋の物語・・・。


「それなのか、それでなにか食べてから行く。それとも見てからにする。どっちがいい。」


「なにも食べなくて大丈夫よ、でもね飲み物はほしいな。」

「そうだな、じゃあそうしよう。どうするコンビニで買う。それともすぐそこにある200円が基本の自販機で飲み物買う。どっちにする。」

それは試しているの。


「嫌よ、ほら早くコンビニ行こう。なにかつまめるものがあるのもいいかもしれないものね。」

なにも食べないんじゃないのか。

別に気にしないけど。


コンビニで飲み物と菓子を買って劇場へとやって来た。


劇場には20分前にやって来た二人。いい場所はもう埋まっている。でも、いい場所で見ることができた。



劇は1時間近くで終わった。

楽しかった。

古都音は涙を流していた。


「泣く程楽しかったんだ。よかった。」


「ごめんね、おかしいよね。泣くなんてね。」


「なにもおかしくないよ。悲しかったら涙が出るものだよ。古都音は涙を流せるだけ舞台に立っていたってことだから、それは古都音の才能だよ。」


「朝未君はなんで私を誘ったの。」

それを聞かれて今言っていいのかわからず黙ってしまった朝未。


「えっと、古都音さんがこの劇に興味があるって。ごめん。今のなし。聞いてないことにして。」

「ダメよ。その話の続きが聞きたいのよ。」

ウッと顔を強ばれせて古都音を見た。

顔が赤いように見えたけど涙のせいだろう。


朝未は外に出て古都音を待たせていた。


「朝未君、早くしてよ。まだ寒いからね。」


「ごめん古都音。古都音はこの劇に興味があったんだよね。なんで興味が湧いたの。小説読んでる印象が多いけど。」


古都音は物語が好きなのよ。

朝未君は嫌いと聞かれたから好きだよと答えた。


朝未は古都音に物語のなにが一番好きか聞いた。

「それは内緒。今度あったときに教えるわ。朝未君はなにが好きなの。」


今教えてくれればいいのに。


「なんだろうな。」


考えていると興味津々と言った顔の古都音。


「ボール集めるアクション漫画は好きだよ。」

「回りくどい言い方だけどわかったよ。」


「それで古都音さんは。」

「うーん……。って内緒って言ったじゃん。」

教えてくれてもいいのに。


「それで古都音さん。」

「どうしたの、朝未君。」

「古都音さん、僕の彼女になってください。」

と告白する朝未。


ドキドキ。


「ごめんなさい。」

朝未は崩れ落ちた。

古都音がなにかをしゃべっていたが聞こえなかった。


数分経ち朝未は古都音に断られた事実を受け止めた。


朝未は古都音の真意に気づかずにいた。


古都音は朝未が放心状態の時に必死に呼び掛けていた。

まだ話は終わっていないからだ。


「私は朝未君がそう言ってくれて嬉しいけど、考える時間がほしい。それまではただの友達でいたいと思ってるの。それじゃあ朝未君はダメ。」


それってまだ俺にも芽があるってこと。

やったーと朝未が急に元気になったのを見て古都音は朝未を面白いと思った。


朝未はやったーと手を上げ兄に感謝した。

その顔には一筋の涙が流れていた理由は言うまでもない。


朝未は古都音に指摘され涙を流していることを自覚するとパニックになったがそれは朝未だけではなく古都音もどうすればいいかわからずにパニックにおちいっていた。


朝未が落ち着いてそろそろお昼食べに行こうかと言ってご飯を食べてから帰路につく二人。


その帰り際

「友達としてよろしくね朝未君。」

と言って手を繋ぎ帰っていった二人。

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