第9話 戦時中のTVの夢
『本日はある小学校にて工作授業の様子を見ましょう。』
普通のテレビが灰色の風景と若干音色がカサついて感じの音楽を鳴らして、女性アナウンサーの声を流している。
『大日本帝国が〇〇戦争での勝利を収め、久しぶりに粘土の配給が行われ、工作授業が開催されたのです。』
もう大正か昭和初期の話だこれ、とわかっていてもその時代そのものにいる感覚に陥ったのは、子供達が楽しげに粘土を作る声がテレビ越しに聞こえてくるせいか、テレビが今の知っているテレビ(薄型的な最新のもの)じゃないせいか。
手元しか映らないが、子供達はきゃっきゃと笑いながら粘土をこねたり、形を作って遊んでいる。
何を作っているのかわからない、が、人型を模っているのがわかる。その子が髪の毛を作ろうと試行錯誤していたから。
「次は〇〇で勝ちますように!」
映像が切り替わり、子供達は出来上がったらしい粘土人形に何かを着せていた。着物のような、そうじゃないような、一瞬しか映らない上にその瞬間に目覚めた夢だったため、いったい彼らが何を作っていたのか、自分にはわからない。
しかし、これは本当に古い話の一部だったのだろうか?
と言うのも、髪の毛を作る工作をしている子供の側に、持っていた手に、多分現代でしかないような細かい作業をするような粘土用器具が映っていたのだから。
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