第28話 戦闘後
私はいつ終わるんだろうと考えながらその場にしゃがみ込んだ。
(そもそもグレーウルフがこんなに召喚するのが悪いと思うよ)
サクッと討伐した私が言うのもなんだけど。
ギャオオオオン!!!!
ギューン……
ギャギャオウン!!!!
ギャウン……ギューン……
(……)
ギャオウン!!!!
ギューン……ギューン……
ギャオオ!!
クーン……
(ついに鳴き声が犬っぽくなってきたよ……)
ギャオン!!!!!
ひと際大きな声でグレーウルフが吠えた。
しぶしぶと言った感じでアッシュウルフ達はお腹を見せた。
(……長い!!!!)
すかさず私はアッシュウルフ達に竹串を投げつけた。
キャウン……
お前居たのか?! という感じでこちらを見て目を見張るグレーウルフ。
アッシュウルフ達は何事?! と言った感じだった。
グレーウルフは息絶えたアッシュウルフを見てもう一度こちらを見た。
その様子は「お前……それでも人の子か?!」 ッと言った感じである。
私をやっつけるためにアッシュウルフを召喚した奴が何言うのかと、私の心は無となり考えるのを止めてアッシュウルフ達の討伐に走った。
ギャオウン!!
ギューン!?
お腹を見せていたアッシュウルフ達は機敏に動くことが出来ず瞬く間に討伐されていった。
そして残るはグレーウルフ1体になった。
ギャオン?!
辺りをきょろきょろと見渡すグレーウルフ。
私は1歩づつ静かに近づいていった。
私が1歩近づくとグレーウルフも1歩後ろに下がる。
グレーウルフが口を開きアッシュウルフを召喚しようとする
「
吠えて召喚するから取りあえず黙らせてみた。
吠えたはずなのに声が出ずグレーウルフは狼狽えている。
(吠えないと召喚できないんだ)
その様子を眺めながら一歩一歩と距離を縮める。
焦ったグレーウルフは召喚することを諦めてこちらに突撃することを選んだようだ。
私がゆっくり動いているのをいいことに不意打ちをしかけてきた。
私は持っていたナイフを目の前に差し出し診療所のテントで行ったように真っ二つに切り裂いた。
(あの時は途中までしか切り裂けなかったけど……)
グレーウルフの亡骸を見る。
(随分と強くなったもんだ)
ナイフを仕舞いレベルアップの効果をしみじみと実感した。
さてとボスを倒したし次に進むかと入口とは反対の方に歩みを進める。
すると後ろからまばゆい光がさした。
振り返るとグレーウルフの亡骸が光りを放っている。
(なにごと? まさか倒しきれてなかった?)
光りが収まるまでしばしその場で待つ。
きゅーん……
すると一匹の子犬が首を傾げていた。
(…………)
しばし子犬と見つめ合う。
きゅーん……
もう一度子犬が鳴く。
心なしか震えている。
きゅ……きゅーん……
「もしかしてさっきのグレーウルフ?」
そう子犬に向けて言葉を発すると子犬はあからさまにビクッと震えた。
きゅ……きゅーん!!
小首を傾げてあざといポーズを決める子犬もとい子グレーウルフ。
(取りあえず鑑定)
鑑定をかけると「グレーウルフ?」 と表記された。
(?ってなに?って)
難しい顔をして鑑定結果を見つめる。
きゅーん……!! ハッハッハッハッ!!!!
その場から立ち上がり私の方に駆けよると足にすり寄って来た。
そして……
きゅーん?
こちらを見上げてきた。
「……いや、騙されないから」
仕舞ったナイフを取り出し構える。
きゅっきゅーん!!!!
ガタガタ震え出すグレーウルフ?
お前はこの部屋のボスじゃなかったのか。 その体たらくは何だと小一時間詰め寄りたい気持ちになってくる。
戦意喪失している子犬をいじめるのも馬鹿らしくなり軽くため息を吐く。
私の様子を伺っていたグレーウルフ?もおどおどしている。
取りあえずナイフを仕舞いその場にしゃがむとグレーウルフに視線を合わせた。
「で? なに」
そう問うがグレーウルフもよく分かってないみたいで困惑顔をしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます