第22話 脱出
(ちょちょちょちょ!!!! 私居るんだってば!!)
慌てて岩陰から飛び出す。
(そうか岩陰は用を足すのに丁度いいんだ……どうせ24時間で綺麗になるし)
不覚だった。
そう思いしょうがないなとセーフティーゾーンから出た。
岩陰に隠れ改めて
(くそ……結局離れちゃった)
「はー疲れた!!」
「今2階だよね」
「あぁ、ここはアッシュウルフとダークスネークしか出ない」
「なら余裕だね」
「まぁ
「油断するなよ? ダークスネークは毒持ちなんだから」
「余裕余裕」
そんな感じで皆の元気が戻って来ていた。
飲み物を飲みながら活気がみなぎる。
その時パンパンッと手を打つ音が聞こえた。
「皆聞いてくれ」
(リーダーの恩田さんだ)
面識がなくとも恩田さん呼びしてしまう。
「今後の方針について話を聞きたい。 今現時刻が14:21だ。 少し休んだら1階に向け進もうと思う。 それで1階のセーフティーゾーンにつく予定時刻がおそらく17時頃になると思われる。 そこから外に出るには1時間ほどで出られると思う。 皆の疲労もあるから1階のセーフティーゾーンで今日は休み万全を期して明日外に出るか、それともそのまま休まずに外に向かうかどちらが良いか話を聞きたい。 もちろん他に意見がある場合言ってくれ」
(おお? 今日踏破しちゃう感じか? となると夕方には外かな? 私としてはその方が都合が良いけどどうなんだ?)
もしかしたら今日外に出れるかもしれないと知りワクワクする。
昼間でもいいのだが夜の方が一目にはつき難い。
どうするんだろうと聞き耳を立てる。
「俺はそのまま走破したい。 早く家で寝てーよ」
「私も走破かな? お風呂に入りたいわ」
「そうだね、家族が心配しているだろうし早く出たい……かな」
「わ、私は1階で休んだ方が良いかと……いえ出来れば今日はここで休んで明日出てもいいんじゃないでしょうか?」
「本気で言ってんの?! もうちょいで外なのに?!」
「わ、分かってるわよ」
「あー……なるほどね」
「何よ!!」
「はいはい、でも今回は早く出ましょう。 結構汚れ酷いわよ」
「え?! うそ!?」
(何の話になってんだ。 ……あ、ダークスネークだ。 えい)
耳をそばだてながら目の前でこちらに向かって威嚇するダークスネークにナイフを突き立てる。
(お肉になった!! やったね)
お肉をアイテムボックスに収納した。
「……という訳で今日踏破でいいな」
「おう!!!!」
(ん? 話纏まった? 踏破するのか)
「では後15分したら出発する。 それまで各自休憩してくれ」
私もその間お水を飲んだり畳んだブルーシートの上に腰を下ろしたりして休憩を取った。
(魔力の回復早くなったなぁ。 一つだけ使用なら消費量よりも回復量の方が上回ったかな?)
目を閉じて体の中の魔力を感じる。
前までは本当に時間を置いて回復を実感する感じだったのだが今はすぐに実感できるようになった。
(ここから出たら倉庫に直行。 持ち物を物色。 余裕があれば今後の方針を聞く。 以上)
欲しい物あるかなと何が必要かを頭の中に描いていく。
(寝袋やテントは無かったもんね。 保温瓶とかあるかな? ポットとか。 お茶を入れておくのも欲しいな。 後は衛生用品。 忘れてたもんね持ってくるの。 一カ月アレ無しで潜るってなったらメンタル死ぬ自信あるわ。 着替えも余分に貰っておこう。 一つ破いちゃったし、今後も壊れたりしそうだもん。 後爪切りとか綿棒とかも欲しいな。 持ってくるの忘れちゃったし。 それと鍋。 一個破壊しちゃったからね……)
そして15分後休憩を終えた先発隊の人たちは準備を整えセーフティーゾーンの境目に集まった。
「準備はいいか? ここから先休憩なしで踏破するぞ」
「おう!!!!」
皆大声出すからアッシュウルフがセーフティーゾーン間際で唸り声上げている。
「私が露払いするわ!!」
「わ、私も!!」
そう言って女性二人がセーフティーゾーンからでて5体のアッシュウルフに切りかかった。
1人が切りかかり1匹倒す。 他のアッシュウルフが飛びかかるがもう一人の女性が放った弓で倒される。
仲間が倒されひるんだアッシュウルフにナイフを持った女性が飛びかかり喉元を切り裂く。
アッという間に5匹のアッシュウルフが討伐された。
「ありがとう」
「どう致しまして」
「さあ!! 行くぞ!!!!」
そして2階のセーフティーゾーンを出発した。
そこからは順調だった。
予定よりも早い時間で1階に到着し16:30頃に1階のセーフティーゾーンに差し掛かった。
そこを素通りし出口へ向かう。
1階はアッシュウルフしか出ない。
そうなるとこのパーティーの敵ではなかった。
外の光が見える。
出口まで間もなく。
皆期待に満ちた顔になりどんどん足も速くなった。
最後には皆駆け足になっていた。
皆がダンジョンから出ると
(……わぁ)
そこで見た風景は先発隊の人達の帰りを驚きながら喜ぶ人達と抱き合う人達だ。
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