第21話 尾行2
(居た!! っととっと……アッシュウルフと戦ってる!!)
どうやら先ほどの轟音をチャンスと捉えてくれたらしい。
小蝙蝠がより大きな音の発生源に向かって飛び立った瞬間駆けだしたようだ。
そして2階に到達したらアッシュウルフと遭遇したって感じだ。
それに伴い陣形が変わっていた。
元々15名ほどの人数だ。
がっちりと鎧を着こんだメンバーが5名ほど、魔法を使用していたメンバーが3名ほど、残りは近接武器や遠距離武器を手にしていた。
がっちり鎧を着こんだメンバーが周りを囲い、その次に近接系のメンバーが続き、中心部分には魔法を使用するメンバーがいた。
(
今の陣形は鎧を着こんだメンバーが前に出てその後ろに数名近接系の探索者が控えている。
鎧を着こんだ人たちが攻撃を受けて後ろに居る人達で仕留めている。
さっきはギュッと一塊にまとまっていたが今は人通しの間隔に余裕がある。
(アッシュウルフは
だがアッシュウルフと対峙している人数は先ほどまとまっていた人数よりも減っていた。
(休憩中?)
残りはその背後で座り込んでいた。
座り込んだ人たちは息も絶え絶えって感じ。
(遠距離系や後方支援魔法使いの人達が多いね。 2階に向けて全力疾走した後アッシュウルフに襲撃されたのかな?)
とても疲れているようだ。
よほど必死に走ったんだろう。
相手から姿が見えないと思いつつ傍に居ても落ち着かないので隅の方に移動した。
今までよりも距離が近いからか
「助かった……」
「いや……まだ……恩田さん達を補助しなくちゃ」
「アキ落ち着いて。 ほらもう残り1匹だよ」
そう言っている間に最後の1匹も仕留められた。
「倒した……良かったぁぁあ」
(確かリーダーの恩田さんだっけ? あの人休んでいる人たちの所に来るね)
「大丈夫か?」
「大丈夫です、なぁ皆」
「なんとかぁ」
「足ヤバいですけどね」
「なに?! 足怪我したのか?!」
「いや、単なる疲労です」
その焦りっぷりにドッと笑いが起きた。
危機が去ったおかげで女性達も幾分気が緩んだようだ。
笑いながら自分の足を叩いている。
「あー死ぬかと思った」
「な!! 崩落が起きた時は流石に死を覚悟したわ」
恩田さんとやらも紛らわしいなと言いつつも笑顔で対応している。
「まだここは危険だ。 もうひと頑張りしてセーフティーゾーンまで行こう。
……行けるか?」
皆に話しかけている。
さっきまで息も絶え絶えだった人たちはその言葉を聞きすくっと立ち上がり軽く汚れを払う。
「はい!!」
「さっきは戦わせてすみませんっした!! 次は行けます!!」
「私も戦闘できるわ」
「よし、頑張ろう!!」
「はい!!!!」
(なんか熱血漢揃いのパーティーだね。 熱気が伝わってくるようだよ)
そのままついて行こうとして思い出した。
(危ない危ない。 ここの階のモンスター鼻や体温を感知するんだった)
パーティーが進み、距離が開いたところで
(アッシュウルフはこれで良いけどダークスネークはどうしようもないね……)
ダークスネークから襲われるところも、仕留めるところも見えないくらいの距離を保ってついて行った。
危機を共有したからなのかここに居る15名は凄く団結していた。
それからは危なげなくアッシュウルフを討伐し奇襲を仕掛けてきたダークスネークは気配察知の高い人がナイフで仕留めていた。
(見事な連携だ)
感心しながら私も襲ってくるダークスネークを狩りお肉にほくほくしながら道中を見守り、先発隊の人たちは2階のセーフティーゾーンにたどり着いた。
(お肉お肉!!)
「
私もこっそりとセーフティーゾーンに潜り込み奥の方の岩陰に隠れた。
「俺ちょっとトイレ」
(ここならいいかな様子も見れるしダークスネークが寄ってこな……うわ!?)
今回はセーフティーゾーンでいいかと気を抜いてたら、
岩陰だったからなのか男性がこっちにやって来た。
どうやら用を足しに来たようだ。
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