第16話 経験値の宝庫
この階のモンスターは何だろう。
眉を顰めて
声のする方へ進むと先ほどの階よりも多い
「このっ!! この!!!!」
「大声出すな馬鹿!! 静かにしろ!!」
「ひぃ!!」
「暴れるな!!」
「いてぇよ!!」
「
「まだだ!! っこの!!」
先頭で道を示す人が1人、その後ろに盾を持ちがっちりと身を鎧で固めた人たちが3人、回復魔法の使い手が1人、その中心にパニックになって泣き言を言っている人たちが5人ほど居た。
盾で
若そうな5人組は装備が柔らかいのか弱いのか
(この人達がさっきの人達が行ってた人達? ……それにしても経験値の群れ美味しそう)
あちらからは見えて無いものの一応岩陰に隠れ様子を伺う。
回復魔法の使い手が居るからか怪我を負ってはいるものの動けないような重症の人は居無さそうだ。
この分なら時間はかかっても階段までたどり着きそうだな。
ふむふむとその人達を見ながら思った。
(この人達はほっておいてまずはセーフティーゾーンを確認しようか)
そっと岩陰から脱出し道の端の方を通ってすれ違った。
30分ほど走るとセーフティーゾーンが見えてきた。
(人は……居ないね)
キョロキョロと辺りを見渡す。
セーフティーゾーンの中を歩き回れば先ほどの人たちが居た痕跡が残っていた。
(ふぅ……疲れた)
手ごろな岩を見つけるとそれに隠れるようにアッシュウルフの毛皮とブルーシートを敷いた。
そこに腰を下ろし小休憩を取る。
(小腹がすいたな)
アイテムボックスからダークスネークの串を取り出し咀嚼する。
(美味しい)
アイテムボックスの中は冷えないから熱々のままだ。
それをゆっくりと堪能しペットボトルの水で喉を潤した。
用を済ませ、
綺麗になったのを確認しこの階を確認するかとセーフティーゾーンから出る。
(残りの魔力が乏しいな……)
用を足すごとに
耳を澄ませ近くに人が居ないかを確認し、落ちていた石を拾い上げ天井近くに勢いをつけて投げつけた。
バサッ
ギィーギィーギィー!!!!!
天井に止まっていた
「
ビチビチビチビチッ!!!!
『レベルアップしました』
「よし」
(ここは経験値美味しいな)
魔力が回復したのを実感し
(この階に他に人が居ないか確認しよう)
そう思い5階へ続く階段まで駆け出した。
魔法が切れるタイミングで
そのたびに
5階に続く道を発見する頃にはレベルが3つ上がってた。
(セーフティーゾーンからここまで人影は無し。 やっぱりこの階の初めに居た人達で全員なのかな? ちょっと様子見に戻ってみるか)
そう考え来た道を引き返す。
(たしかここらへんだったかな?)
あの集団が
(音も聞こえない……3階にたどり着いた……?)
それならばここから先は誰もいない?
腕を組みしばし考える。
(3階に居た人たちも引き返したか確認しておこう。 あの人達が戻ったことで攻略可能になって進まれても困る)
そう思い3階まで足をのばした。
3階のセーフティーゾーンまで行く途中で声が聞こえてきた。
「もうちょっとでセーフティーゾーンだ!! 気合を入れるぞ!!」
「おう!!」
野太い声が数名分響いた。
「もう嫌だ―!!」
「お前らなんで騒ぐんだよ!! ほら……ほらぁあ!! あっあっち行け!! うわぁぁあああ」
「痛てぇよー!! 早く治療しろよ!!」
「我慢しろ!! 魔力がもう……くっ……
「うわぁぁああ!!」
(……まだ騒いでる)
探索者を視認出来たので岩陰に隠れて様子を伺う。
見れば先ほど見た時よりも怪我が増えている。
そして回復魔法の使い手にも疲労の色が見えた。
ゴールが見えてきたおかげかガードを担っている人たちのモチベーションが上がったようだ。
「お前ら!! こっちだこっち!!」
「戻って来た!! こっちよ」
「これで帰れる!!」
遠くから声が響いてくる。
どうやら3階のセーフティーゾーンに居た人たちにも先ほどの野太い声が聞こえたみたいだ。
「聞いたか!! もうちょいだ!! 頑張れ!!」
「うるせぇよ!! もう黙れ!! あああ!! ほらまた増え……ちくしょう!! ちくしょう!!!!」
(一人も欠けずに合流できそうだね)
そう思い時計を見る。
時刻は20時を回っていた。
(今日はこのままセーフティーゾーンに泊まりかな? 明日今後の進退をどうするのか見に来よう)
私も3階と4階を駆け回ってだいぶ疲れた。
踵を返すと4階にセーフティーゾーンに向かって駆けだした。
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