第20話 活動内容を決めよう①
ポツポツと降る雨の下、僕は学校へ向かっていた。
抜けきらない梅雨と、7月頭の暑さが重なり不快指数は高数値を叩きだしている。制服のシャツに汗が染み込み、肌に絡んでかなり気持ち悪い。
昨日の夜。部活の申請書を貰った当日に夜のことだ。
SNSのグループトーク内で部活を作りたいという事は皆に伝えた。反応は好評で、特に市井さんは特に喜んでいた。「やったぜえええええええええええええ」という実際の会話内では使わない言葉づかいでの喜び方に、ちょっと心を持って行かれそうになった。そういうギャップはずるいですよ!
今日の放課後の教室で、部活内容を決めるための話し合いをする事になっている。
みんながやりたい事を目一杯詰め込んだ部活にしたい。表向きな部活動名は、やりたい事が決まってからで良いだろう。
「私は古びた廃墟をめぐりたいなあ」
手提げかばんの中から顔を出しながら
「ああ、廃墟めぐりは面白そうだな。学生だけだとちょっと危ない気もするが。樹木は廃墟が好きなのか? 」
「だって死の香りがするじゃないか。建物の死、生活空間の死、あるいはそれに付随する人の死――。なにせ死神だからね。この時期なら海や川でもいいぞ」
たまに忘れそうになるがこいつは死神だ。悪気もなく『死』を話題に上げる。
「なんか、樹木と一緒だと事故や事件に巻き込まれそうで嫌だなあ」
「えええっ!どこぞの名探偵と一緒にされては困るな。死神がいるから死があるんではない。そこに死があるから死神がいるんだ。私を連れて行ってもなんも問題はない!だから一緒に連れて行ってくれ!!」
樹木は必死に弁明をしている。僕の肩まで登って来て制服の袖を引っ張っている。
「たーのーむーよー」
次第には髪まで引っ張り始める。
「いてててて。やめろ引っ張るな!」
「たーのーむー」
子供か!おのれは!まあ、よく考えれば実際体型は子供なんだ。本当に子供なのかもしれない。今度実年齢を聞いてみよう。いやいや、それより早く止めさせないと。もみ上げはやめろ!おいおい、髪ちょっと抜けてないか?
「分かった!分かった!連れていくから」
「ほんとか!やったあ。えへへ」
樹木はニッコリと笑い、満足そうにカバンの中に帰っていく。はあ、やっとやめてくれた。
しかし―――廃墟は難しいとしても―――そういう街にある物を調査するという名目は、部活動を申請するにはいい案かもしれない、ついでに遊んでいても分からないだろうし。
「おーーい!レーーン!!」
後ろから僕を呼ぶ声がした。佐藤芳佳と市井さんだった。二人は傘をさしながらペタペタと走ってくる。
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