第25話 魔王、ハルトと共に闘う
突如現れた異形の者に驚くフウカ。それはそうだろう。俺たちは彼女に全てを説明した。
「もっと早く言ってくれればよかったのにぃ!」
彼女の意外な感想に面食らう。もっと驚き混乱するかと思っていた。
「ちゃんと二人で帰ってきてね!」
フウカに見送られた俺たちは学校へ向かうことにした。
「魔王さん足に捕まってください。飛んでいきます!」
魔王の体になっているハルトは、十分な魔力を持っているらしくこの世界でも難なく飛行することができた。
あっという間に学校についた。
目の前に現れた俺たちを見てレイヴンは焦っていた。しかし、次の瞬間思いもよらない行動に出る。
「これでどうです?」
なんとレイヴンが合図をすると空中に開いたゲートから悪魔たちが現れる。
ギギギギッ! ギギギッ!
羽の生えたゴブリンのような見た目の小悪魔は学校に向かって降りていく。
「まさか学校を襲わせる気か!?」
俺の問いかけにレイヴンはニヤリと笑う。
学校にはまだヒナも残っているはずだ。今日は遅くなると言っていたから。
「ハルト、こいつは任せた。俺は学校の方へ行く!」
「ええええ、どうしろっていうんですか!? こんな化け物を前にして一人にしないでくださいよぉ!」
「お前、レイヴンにビビってるのか? 冷静なって考えろ、今のお前は魔王だぞ。その体に内包された力を余すことなく使ってみろ」
「わ、わかりました……やってみます」
俺は捕まっていたハルトの体から手を離し、学校の校庭へと着地した。
ズドン!
急いであの小悪魔たちを狩らなければ……。
学校の中へ入ると、小悪魔たちの手によって生徒たちが襲われていた。下校時間を過ぎていたためそこまで人数はいないのが幸いだった。
小悪魔たちは、俺の姿を見つけると無謀にも襲いかかってくる。俺のことを人間だと思っているのか、魔王とわかっていながら倒せるつもりなのかはわからない。
俺は小悪魔たちを次々とワンパンでほふりながら、ヒナを探すために走り回る。
ヒナは先生からプリントの整理を頼まれていた。この時間ならまだ教務室にいるはず!
俺がそこへ行くと、ドアの前には3匹の小悪魔が群れていた。そいつらはドアをドンドンと叩いている。
ザシュッ!
小悪魔たちを倒した俺はドアをノックした。
「ヒナ! いるのか? いるなら返事をしてくれ」
ほどなくしてドアが開いた。
「ハルトくん!」
青ざめた表情のヒナが顔を出したかと思ったら、俺に飛びついてきた。
「怖かったの! ホントに……ありがとう」
「ああ、無事で良かった」
しばらくそうしていた俺たちだが、
「まだ終わってない。行ってくる」
そう言ってヒナの体から離れると廊下の窓を開けた。
上空にはレイヴンとハルトが対峙しているのが見える。
「ハルトの影響で、俺も魔力を使えるようになったな。この分なら飛べそうだ」
俺はヒナの方をちらりと見た後、空へ飛び立った。
ハルトは思いの外苦戦していた。やはり魔力の使い方がよくわからないのだろうか。レイヴンが何やら唱えると空中に炎の塊が現れる。
「死ねえええええぇ!」
俺はその炎に突っ込んでいき、一瞬でかき消した。
「な、なんだと……私の最高威力のメガフレアを……」
「今のがメガフレアだと? ファイアボールかと思ったぜ!」
俺はレイヴンの周囲を高速で飛び回り、ヤツを圧倒すると真正面からぶん殴った。
「クソ! クソオオォ! もう少しで世界を手にすることができたのにいいぃ!」
断末魔と共に、レイヴンの体は散り散りになっていく。
「やりましたね。魔王さん! 最後どうやって倒したんですか? ただ殴っただけに見えましたが」
ハルトが近づいてくる。
「ただ殴っただけだ。結局魔法は使えないままだったから魔力を込めて殴るしかなかったな」
こうして、俺の人間界での戦いは終わった。しかし、まだやることが残っているのだ。
「ハルト、今度は魔界へ行くぞ」
「えええええぇ!」
「何を驚いている。向こうでの戦いはまだ終わってないだろう。さあ、魔界へのゲートを開くのだ」
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