<34>飢餓

満たされない欲求のまま

僕は其れをむさぼり食った

温かい液体がのどを伝う

きっと、

外はもう寒いだろう


闇の底では

一人の獣がんでいた

うなり声をあげながら

死体を独り占めしていた

何人なんぴとも辿り着けぬ場所

しかし山ほど死体は落ちている

其れは僕が捨て損なった

心のごみたちだろう


光が少し差し込んだ時

其の黒い塊は燃え尽きた

どうやら熱に耐え切れなかったらしい

あんなにも人を喰ったのに


何時いつまでも何処どこまでも

空腹が満たされることは無かった

食べ足りぬ欲求のままに

復活した新たな獣は

心に巣食い人を喰う


絶望の奥底へ落ちて行け

きっとそこには

探し求めたモノがある

其処に到達できるまで

光を灯さず感情を喰らえ

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