<33>地獄

あくる日の朝

目の前は地獄だった

地獄の定義とは一体何だろう

恐ろしく残虐な場所を言うかもしれないし

あの世の世界かもしれないし

人によってそれは違う


いつも毎日

目の前は地獄だった

さえずる小鳥に誘われ

身を投げ出した少女と

ついに僕は溺れ死んだ

また「地獄」へと堕ちていった


天国にはきっと

今の時期ははすの花

それが咲き誇っているだろう


あの少女が笑っていた

僕を見下して笑っていた

嘲笑う様な笑みなのか

楽しむような笑みなのか

今となってはそれも

記憶から燃えていった

まるで生塵のように


どうせなら、

と僕は呟いた

誰にも聞かれない小さな声で

鬼として生まれたかったなあ、

と僕は呟いた

今度は大きな声で


今宵

僕らは君の

心の中の地獄に沈む

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