僕の願い

願いを叶えられるなら、陣を強くしたい。

そしたら、気候や晴明みたいに、戦える。

僕だけ、役に立てないのは嫌だ。

「じゃあまたね/また明日な」

「うん、また明日」


三つに別れた道をそれぞれ進み、

帰路につく。


出来ないことを見せられるのは、とても辛い。


ドンッと誰かにぶつかり、我に返る。


「あっ、ごめん」

黒い帽子に、黒と白のパーカーを来た、カッコいい女性がそこにいた。

こちらこそ、ごめんなさいと俯きながらそう告げて去る。

「ああ、待って。君何かを悩み事かな?私には分かるよ。良かったら聞かせてくれないかな?」

夕暮れに照らされ、元気に笑う彼女を見ていれば

自然と口が開く。


「僕は陣道教授や友達みたいに、強くなりたいんだ。守れるほど強くなって、役にたちたい!それが僕の願い。成長しきってない陣を今すぐ、完成形に持っていきたい・・・・」

陣道という単語の時に、ピクリと眉が動いたのは気のせいだろうか?


「あー成る程ねぇ。じゃあ私と組もう。そうしよう!」

「・・・・・・」

疑わしい目で見つめると、クスリと笑った。


「私の名前は陣道 愛!願いの陣の利用を、いや、道具化させる事を企む者」

妖しい笑みを浮かべ、続けた。

「無条件での願いを叶える事を前提にするには、

まず奴を取り込み、支配権を奪う事が

理想の話。他にも色々考えているけど、これが合理的。それで君の未熟な陣を器にできるかもしれないから

君の陣の成長を助ける代わりに、お互いの時間を一度共に過ごさないか?」

左目を覆いながら、不安そうに左手を差しのべられる。

「・・・・・」

「別に・・・・確定って訳でもないさ。失敗するかもだし」

「それなのに、挑むんだ」

「ああ、気になる事はとことん、追及したくなる生まれ持った癖さ。ほんっと似てしまって憎い限りだよ」

明るく笑う彼女は、子供の様で

こっちもなんだか、暖かい気持ちになって


僕は無意識に彼女の手を掴んでいた。




「ありがとう。この話は皆には内緒ね」


「・・・・。了解です」

「それとねーはいこれ。」

スッと渡される、彼女の連絡先が書かれたカードと白紙のカード。

「君のもちょうだい?」

渡された白いカードに自分の名前と、連絡先を書いて渡すと

彼女はクスッとまた笑った。

「変わった名前だねー、まっよろしく、換絵ル君。

私の事は愛って呼んで。陣道はいらない」


「分かりました、愛さん。こちらこそよろしくお願いします」

「あはは!かたいよー、軽いので良き」

「ふふっ、ありがとうござ・・・・ありがとう愛」

ちょうど、日は沈んで夜になる。

この先どんな未来が待っているのか、

分からないけど

僕はこの道を選んだ。


後悔は無い。


これは僕達しか知らない、内緒の出会い。










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願いの陣 bbキャンセル君 @aiumi

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