願いの陣

ホワイトボードに書かれたのは、三角図。

願望者の文字を囲った円からから矢印が向いている。その示す先は

願いの陣。

その下に同じような形で娘と書かれた箇所がある。

「いいか、よく聞け、願いの陣は魅力的な話かと思うが、そうじゃない。

奴は大事なモノを代償に願いを叶える。つまりこうだ」

願望者に、お金という単語を追加し、今度は娘の方に×印をつけた。

「この人の長女は死んだ。分かるか?願いを叶えるのには大きな代償がいる!

だから安易に願いを叶えたいと願うのをやめろ。この世に楽な道なんて無いんだよ!」

静まる空気に、三人は何も言えなかった。

教授の経験則としての言葉なのかは、分からないが、

妙に説得力があった。

「じゃあ」

その中で一人口を開いたのは、返章 換絵ルへんしょう かえるだった。

「なんで、願いの陣についての本がこんなに沢山あるのですか?」

清明と気候も確かにと小さく頷いた。

だって、叶えたいと願うのをやめろと言うのであれば、

本人も願いを叶える意思はないはず。


彼女は少し黙った後、こう言った。

「私は一人の陣の研究者として、調べているだけだよ。ああ、それより願いの陣は、馬鹿なんだ。詳しい願いを言えないと、願ってもいない結末で終わることもある」

例えばと付け加え、ホワイトボードに、わかり合える友達が欲しいとだけ書き込む。

「これがお金持ちのAさんの願いだとする。陣がこれを叶えたとすると、

わかり合える友達が出来る。めでたしめでたしじゃない。

これは、彼が望んだ認め合う友情では無く、本心ではお金を狙って接している偽りの友情わかり合える友達として、導いた。」




目を瞑り最後にこう言った、

「願いの陣は独立陣、ランクは・・・・S。ただし、そいつの弱点として自分の願いを叶える事が出来ない。それでもランクはS相当。」

三人は目を見開き驚いた。

願いを叶える能力で、自分のためには能力を使えないのに・・・・

それでもSに当てはめられる。

それぞれが、戦闘力があるじゃあないかとか、まだ能力を隠し持っているんじゃないか?

とか、警戒しないとという考えを持つ。


「とりあえず、願いの陣を見つけても、口をきかない!以上!今日の講義は終わり!!」


「「「あ・・・・ありがとうございました!」」」

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