1-2:メンタルチェック
「はーい。来い霧の陣!」
ノイズが入っている様な、姿の陣が現れる。
(霧を発生される能力を持つ陣。今までの事を振り返ると、戦闘力も高い様に思う。S,A,B,Cのランク付けされている中で当てはめるなら
この強さで暴走は面倒くさいが・・・・まあそれを回避する為のメンタルチェックだ。一応自分でも気をつけろと言っておくか)
「異常は無いね。あとちゃんと自分のメンタルケアしてるかい?」
「失礼な!ちゃんと自分なりにしてますし!」
「あはは、一応確認だよー。」
「毎回毎回しつこいぜ」
「ははは!そうかなぁー。あと、いい加減そろそろ敬語使えるようになろうねー?」
「うぃーす」
「じゃあ最後は、
「はい!」
現れたのは、コアラ?みたいな何処か寂しそうな雰囲気を持つ陣。
彼の陣は、珍しく、成長が遅れている。
そもそも陣というのは、持ち主と同じ段階で、その時の感情・思想などを参照し
それを食べて持ち主と共に成長していく生物?なのだが。
「相変わらず、変わらないね」
「あはは・・・」
苦笑いを零す彼。
(陣だけを見ると、彼自身も成長が遅れてると見れるんだけど・・・全然そんな雰囲気を出していない。)
じゃあ別の事が原因か?
陣研究者として、とても興味深い。
「まあ、それも君らしさ?かな」
「別に無理矢理褒めなくて良いです」
「ごめんごめん。陣は正常。君は?」
「異常?」
不安そうな瞳で私を見られる。
「いやそういう事じゃなくて」
突然の自虐に
連れの二人は、彼の気持ちも知らずに笑いながら
なんでそうなるんだよ!?とツッコミをいれている。
「だって、気にしてるんだもん。陣の成長が遅れてるの」
「大丈夫だって、いつか成長しきるよ。今は準備段階という所かな。私が言うんだ、間違いないさ」
「教授~!」
彼は陣を引っ込め、キラキラと目を輝かす。
微笑んで、楽しみだね。と伝える。
「では恒例行事が終わったところで、今日は・・・・うん?」
「どうしたんですか?」
「いや・・・・外から迷い込んだか?独立陣」
三人は驚く。
辺りを見渡しても、陣の姿なんて見えない。
「気のせいじゃないんですか?」
「私は今から見てくるから、君達はここで待機していなさい」
「俺も行」
「待ってなさい」
キッと睨まれ、
教授はこの部屋から出ていった。
その間、取り残された僕達は、雑談でもしてることにした。
――――――――
「陣道教授~!」
息をきらしながら、廊下を走ってくる学園長の姿。
相当焦っているのか、私の元に辿り着くと、地面に座り込む。
どれだけ探してたんだ。このご老人は
「学園長。どうしました?」
「ぜぇぜぇ、あのぜぇぜぇ」
「一度息を吸いましょう」
一息つかせた所で、本題に入る。
「陣道教授は、オカルト専門ですよね?」
「うーん、そうですね?」
合っているようで、合ってないと感じ、曖昧に返す。
「生徒達を助けて下さい!!見えない何かがいるんです!!
信じてくれますよね!?教授!!」
陣の特徴としてあげられるのは、普通の人には見えないということ。
さっきの感じた気配といい、全て合点がいく。
「信じますよ。だって、私はソイツを探しに来たんです。何処ですか?その見えない何か」
「体育館にいるらしい。今3年生が今使っている。ああ、どうしよう。生徒達に何かあったら・・・・」
「安心して下さい。守りますよ。私こういの専門なので」
そう残して、体育館に急いで向かった。
――――――――
三人で話をしている途中、窮屈そうな本棚から4冊の本がバサバサッと落ちる。
「わっ!びっくりした!」
「はっびびりだな換絵ル!俺は・・・別にそうでもねぇし」
「嘘ですね。表情が物語っていましたよ」
「あはは。そうだあれ拾って、教授の机に置いとこうよ」
賛成と声が合わさる。
三人は高級そうな表紙の本達を、拾い上げる。
全てそれぞれ手に持つと、一つの好奇心が降りてくる。
「これ何が書いてあるんだろうな?こんな分厚くて高そうな本」
「確かに・・・普段読ませてくれませんしね」
謎に満ち足りた本が、彼らには輝いて見え、今すぐ読みたいと
喉から手が出そうになる。
教授から読むなとは言われているけど、今教授はいないし。
三人は目を合わせた。
四冊の本を恐る恐る開けた。
そこには、"願いの陣"と書かれたタイトルに、沢山の教授の文字が書き示されている。
その中で一番僕達を釘点けにしたのは、
"一番大切なモノを犠牲にして何でも願いを叶える"という文章。
僕達はその本達を読みあさった。
――――体育館――――
「くっ、ドアが閉まっている」
向こうから鍵をかけられたようだ。
(壊したいが、さすがになー)
そう思っていると、中から叫びが聞こえる。
「じゃあもう、軽くぶっぱなしますか!来い!風陣、雷陣!」
二体の青と緑の体を持つ陣を召喚したのと同時に
中から一人の女性が出てきて、言った。
「ドア開けました!!!!!皆さん逃げて下さい!」
わー!と沢山の人の列が押し寄せてくる。
私はその人混みにもまれ、強引に体育館に入るとそこには
確かにいた。
暴れている陣が。
「あんたは何処から生まれた陣なのか?いじめからか?その見た目からして、良いものから生まれてないよね」
無数の手が形成する陣から発せられるのはノイズ。
仮にいじめから生まれたとしたならば、この学園でそういう事が隠れて行われているということになる。
やれやれ、これだから陣が見えない奴は困る。
まあこれも、人間の性か。
私は戦闘を開始した。
私の陣はSランク相当の力を持つ陣。
よっぽどの事が無い限り負けることはない。
「行くぞ!」
周りを破損させないように暴れさせる中で
相手は自分を中心に拡がる、光線を上下発生させる。
「あれを破壊しろ、風陣、雷陣」
地面に広がる穴から、二人の長い体が出ている陣達は
目を合わせ、息ぴったりに、ブレスを吐き、円を消滅させる。
(そこまで濃くはないか。簡易の独立陣か、それとも生まれたての陣なのか)
最後に雷陣の長い体での噛みつき攻撃で
「だずげで」
フィニッシュ。
私は目を見開く。今何て?
(一番下のCランクの陣に該当する。てか今言葉を話したのか!?今更なんで!?)
言葉を話せれば、こんな戦いしなくてもすんだかもしれないのに。
この戦いを見ていた、女子生徒達を見つけ、聞く。
「・・・この学校で過去にいじめとかあった?」
知らないと首を振り去った。
「じゃあ違うところか?」
解決しないまま、体育館を後にし、解決の報告をしに行く。
「ありがとう、陣道教授!」
学長は凄く喜んでおり、次の給料を少しプラスして貰えた。
るんるんで研究室に戻ると
さっきまでの明るい気持ちが、一気に黒く変わる。
「何をしてるの?」
そう言葉にすると
肩をふるわせて、ぎこちなく彼らは私の方を見る。
普段あまり怒らない教授が怒っている事に三人は恐怖で動けなかった。
「読んだの?それ」
今にも舌打ちをしそうだ。
三人はそれを察しし、すぐに謝った。
「いーよ、別に。代わりに今から少し特別講義でもしようか」
彼らを見下す様に一睨みし、机に置いてあるホワイトボードのペンを手に持ち、
乱暴にペンを走らせた。
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