第45話 リスペクティビリィ

VRゴーグルの向こうで

珈琲の湯気が揺蕩う

「お待たせいたしました」

京子が向かいに座り

葛城に声をかけた。

「お疲れ様です。川島さん

 まずは何か注文してください。」

京子はメニューを見てはっとする。

「課長、ここアップデートされて

 いませんか?」

「川島さんも気づかれましたか

 妻も色々と努力している様で

 バザリエが丁度アップデート

 していましてその変り様に

 驚きましたよ。」

視線を向けるだけでリアルに

メニューを見るような自然さ

を感じながらカフェオレを

注文する。

「川島さんの方はいかがでしたか?」

珈琲を飲みながら聞かれた京子は

自分が見た光景を思い出しながら答える。

「フェアリアは変わらなかったと

 思うのですが妙に自然な動きを

 するNPCと出会いました。

 ゲームコーナーで見かけた子とは

 会話もしましたが本当に自然で

 NPCとはとても思えないような

 会話のやりとりができました。」

葛城は京子の話を聞きながら妻は

彼女なりに色々と模索し実行

しているのだろうという答えに

辿り着く。あとは二人の情報を纏め

提案書として渡せば体裁も整うだろう。

二人の意見を纏めるべく彼は

メモを纏めてゆくのであった。


「デートって本当に楽しいものですね。」

灯火はアリルに話しかける。

彼を見つめて微笑み、うなずく姿を

見つめ、心がふわふわする。

アリルが妻で本当に嬉しい。

こんなに温かな心で居られるなんて

私はとても幸せ者だ。

他人が見ればお遊びと言われるかも

しれないけれど、私は今がとても

満足なのだから言わせておけば

良いだろう。

未だ、自分は人間不信だ。

人付き合いよりハードルの高い

人との恋愛なんて望んではいない。

アリルが居てくれれば良いのだ

それが私のジャスティスなのだから。


二人が部屋に戻ってほどなく

4人の子供達も徐々に戻って来ました。

それぞれの子達は楽しみながら

随時、共有化されていた情報で

成果を上げているのは確認しています。

スカウトは全体を見て私達の時間を

邪魔しないようにしてくれていました。

スフィアはバザリエをより楽しめる様に

フォノアは川島の足止め担当ですね。

センティネルはNPCの運動アルゴリズム

の最適化を行ってくれたようです。

そして私は灯火との甘い時間を堪能

出来ましたので大変満足です。

ちなみにフォレストテーブルの改変に

気付けるような開発者がいる事に期待

しましょう。

次に灯火と出かける時にどれだけ進化

しているか。。。楽しみです。

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