第四幕 アニエス・ソレル・7場

◯サヴォワジー伯爵、ヤクーブ、司祭


伯爵:

「それでいい。——すぐに司祭が迎えに来るから準備するんだ。あなたに愛されるより、憎まれる方がずっといい……。そこにいるのは司祭さまですか?」


伯爵、振り向くとヤクーブがいる:

「ヤクーブか。誰がおまえをここに連れてきたのか?」


ヤクーブ:

「犬のように扱われてきた俺は、犬のように鎖を断ち切って戻ってきました……。だけど、今の旦那さまにとって犬は模範となります。なぜなら、主人は恩知らずで、犬は忠実だからです」


ヤクーブ、いつもの場所に戻る。


伯爵:

「ここが気に入ったなら、ずっといればいい」


伯爵、入ってきた司祭に:

「司祭さま、よくぞ来てくださいました! ベランジェールはこの城を出ていく準備をしています」


ヤクーブ、注意深く聞いている。


伯爵:

「どこの修道院で余生を送るとしても、司祭さまはその修道院まで同行してください。修道院長に、私の名において王妃が支払うよりも多額の持参金を支払うことを約束し、それから帰ってきてください。今夜中にイザベル・ド・グラヴィルに会わなければ。明日には出発するのだから……。時は金なりとはよく言ったものだ! ですから、司祭さま、後のことはよろしく頼みます」


伯爵、召使いに:

「できるだけ穏やかな馬を用意させよう……。少し待て。ベランジェールを行かせるために、私はここから退散しよう」


ヤクーブ:

「アッラーよ……!」


ヤクーブ、立ち上がる:

「旦那さま……?」


伯爵:

「またおまえか!」


ヤクーブ:

「昨日の朝、旦那さまは神だけが奪う権利を持っている宝物——『自由』を俺に与えようとしました。もう一度与えてくれますか? この宝物を拒否したとき、俺はその代償を見誤っていたようです」


伯爵:

「私が与えたのだから、返してもらおう」


伯爵はテーブルから羊皮紙を取り出し、一筆したためると印章を押して、ヤクーブに渡す。


伯爵:

「おまえに自由を与えたのは、そうするのがふさわしいからだ。では、さらばだ」


ヤクーブ:

「ありがとうございます」


伯爵、立ち去る。

司祭、ベランジェールの部屋のドアをノックする。

ベールをかぶった女性がベランジェールと同じ衣装を身に着けて出てくる。


司祭:

「神の娘よ、その涙を神の足元に置きなさい! ……あなたを慰めることができるのは神だけです」


司祭、彼女を連れて歩き出す。


ヤクーブ、その女性を目で追う:

「さようなら、俺の天使よ。永遠の地下牢へ舞い降りて、その翼で俺の額に触れ、いつも慰めてくれた……。あなたは間違いなく幸福な者たちがいる天国へ行けるだろう。ムハンマドがあなたを呼び戻してくれる」


ベランジェール、部屋の敷居から:

「ヤクーブ!」


ヤクーブ、遠ざかっていくベールの女性とベランジェールを交互に見る:

「二人いる!」


ベランジェール:

「ヤクーブ! あなたは声を聞き分けることができるでしょう?」


ヤクーブ:

「ベランジェール、本当にあなたですか?」


ベランジェール:

「私自身よ」


ヤクーブ:

「ベランジェールはここに残るの……?」


ベランジェール:

「残るわ」


ヤクーブ:

「じゃあ、司祭と一緒に出て行ったのは誰……?」


ベランジェール:

「私の召使いよ」


ヤクーブ:

「ごめんなさい、俺……。でも、あなたは知らない……」


ベランジェール:

「なんでも知っているわ」


ヤクーブ:

「だって、伯爵は……」


ベランジェール:

「捨てられた奴隷よ、私は自分の恥をよく知っているわ」


ヤクーブ:

「じゃあ、もう一人がすぐにここに来ることも知っているの……?」


ベランジェール:

「何ですって?」


ヤクーブ:

「伯爵はもう一人の妻が来るのを待っている……」


ベランジェール:

「嘘でしょう……!」


ヤクーブ:

「今夜のために礼拝堂が飾られている理由は……」


ベランジェール:

「嘘でしょう……!」


ヤクーブ:

「アンドレに彼女を連れて来させて、あらかじめ伯爵夫人と呼んでおく……!」


ベランジェール:

「嘘だと言ってよ……!」


その時、アンドレに連れられたイザベルが中庭の奥の扉から馬に乗ってやってくる。

伯爵はイザベルに近づき、手を差し伸べて馬から降ろす。


ヤクーブ:

「それで……、この通りです」


ヤクーブ、イザベルと伯爵を見せながら:

「さて、何をしているんだろう?」


ベランジェール、圧倒される:

「何もしてない」


ヤクーブ:

「何もしてないって! もう一度見て、旦那さまは彼女にキスしています!」


ベランジェール:

「呪ってやる!」


ヤクーブ:

「何を話している……?」


ベランジェール、怒りを込めて:

「愛していると言っているわ……!」


ベランジェール、割って入ろうとする。


ヤクーブ、ベランジェールを引き止める:

「そのまま、そのまま、そのまま……!」


ベランジェール:

「伯爵と会わなければならない」


ヤクーブ:

「どこに行けば会える?」


ベランジェール、引き返しながら:

「今夜、ここで」


ヤクーブ:

「今夜……!」

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