第四幕 アニエス・ソレル・5場

◯バルタザール、ベランジェールがタペストリーを持ち上げる。


ベランジェール:

「ハヤブサだわ!」


バルタザール:

「貴婦人か?」


ベランジェール:

「伯爵と陛下は戦いに行くのかしら? この部屋に閉じこもっているとほとんど聞こえないわ……。戦いに行くのかどうか、すぐに知りたい」


バルタザール:

「彼らは大きな声で話してくれました」


ベランジェール:

「伯爵はこの城から出ていくの? ああ、あなたの魂よ、答えてください! 彼は今すぐに出て行ってしまうのかしら?」


バルタザール:

「いいえ、マダム。サヴォワジー伯爵は一晩泊まって明日までこの城にいますよ」


ベランジェール、財布を渡す:

「教えてくれたお礼に、このお金を差し上げます」


バルタザール、立ち去る:

「マダムの手に神のご加護がありますように!」


ベランジェール、一人になる:

「ああ、血の気が引いていくのがわかる! この城壁の中にいると、まるで墓の中にいるかのように息苦しい!」


ベランジェール、肘掛け椅子に倒れ込む:

「出て行ったと思ったのに……。ああ、私はどんなに苦しんでいることか! 二本の鉄の手が、私の首を絞め上げているみたいだわ!」


ベランジェール、突然立ち上がる:

「神よ、助けてください。彼がここにいる!」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る