第四幕 アニエス・ソレル
第四幕 アニエス・ソレル・1場
◯同じ装飾。狩りの道具がずらり。ドアの前に、リードにつながれた猟犬たちを抱く小姓がいる。
◯鷹匠バルタザール、小姓ゴドフロワはこぶしにハヤブサを持っている、後方に村人たち、そしてヤクーブ
バルタザール、ドアの前で:
「ほら! 従騎士たち、取り巻きたちを連れてきてくれ……。小姓たち諸君、猟犬をいじめてはいけないぞ! 今日中に十分な仕事をこなすだろうし、四分の三くらいの状態で始めれば、放鳥と同時にコースから外れるだろう……。ハヤブサを連れてこい、誰も見せるな」
バルタザール、ゴドフロワから激怒しているハヤブサを取り上げる:
「ほら、ゴドフロワ、あっちへ行ってろ! こういう高貴な生き物を、人種が何であれサタンの息子の手にゆだねたら、犬は四十歩も道をたどらないだろうし、ハヤブサはオオタカに惑わされて鵜の前で反転して逃げ出すだろうね」
バルタザール、別の人に:
「今日のオトリは足りるかな? もっと持ってきてくれ、一時間後に出発だ」
バルタザール、ハヤブサに話しかける:
「ほらほら! さあ、かわいいコケット、キスしてくれ……。うん、王様のお気に入りよ、ごきげん斜めなのか? 今夜の晩餐にお連れするときに、おまえさんが自慢できるかどうか見せてみよう」
村人:
「メートル・ピエール……」
(※メートル:英語のマスター、ドイツ語のマイスターと同じ意味)
バルタザール:
「なんだ?」
村人:
「今朝、林道を横切った時にイノシシを見かけました」
バルタザール:
「大きさは?」
村人:
「聞いた話では、犬十匹を倒せる牙を持っていたらしい」
バルタザール:
「聖ユベールよ! ……今ならまだ見つかると思うか?」
(※聖ユベール:狩人の守護聖人)
村人:
「もちろん。俺も案内します」
バルタザール:
「それでいい。ありがとう。……ああっ! 今日は、獲物の気をそらすのが得意なイングランドの猟犬を持って来てない!」
バルタザール、虎の皮の上にいるヤクーブに:
「おまえは雪だるまか? 俺たちについてこないのか?」
ヤクーブ:
「行かない」
バルタザール:
「臆病者は横になっていることが好きだからな」
バルタザール、振り向くと子供が弓に触れている:
「あっ! サル野郎め、弓に触ったのを後悔させてやろうか? さあ、やめるんだ。さもないと、弓の弦で容赦なく背中をひっかき回すぞ」
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