第二幕 サヴォワジー伯爵・6場

◯国王シャルル七世、サヴォワジー伯爵。


国王、伯爵に向き直る:

「今日、私たち二人は罪を犯した。鷲が岩山のてっぺんに巣を作るように、伯爵家の城をこれほど高い場所に建てたのは、はっきり言って重罪だ。おかげで、あなたが仕える王は、愛する旧友をたまたま尋ねようとした場合、この場所まで徒歩で登らなければならず、神に誓って二十回は魂が飛ぶ危険を冒すことになる……。さらに付け加えると、もしブルターニュ公ジャン六世のようにサヴォワジー伯爵が裏切り者になったら、私の部下を長期間働かせなければならないほど、城壁は高くて頑丈ときた」


伯爵:

「わが王の言葉は正しい。しかし、この城は頑丈なだけでなく、忠誠心も高いのです」


国王、メランコリーに:

「由緒正しい伯爵よ、あなたと同じことを言った者がこれまでに何人いたと思う? そして、後になって信義を偽った者が何人いただろうか! 人の言葉は軽いものだ。内乱や外国との戦争で、哀れな国が破滅に向かう時、あらゆる野心に約束が投げかけられる。人の言葉とはなんと軽いものなのか!」


国王、座る。


伯爵、国王に近づく:

「陛下、この古城には初代以来、私の先祖である十二人の城主が誕生し、今は霊廟の丸天井のもとで松明の明かりに照らされながら眠っています。下に降りて、彼らの甲冑を貫いた致命傷を一人一人探しましょう。命日を見れば、一人一人がどのような戦いで死んだかを教えてくれます。歴代の先祖たちは、陛下の一族のために、一人残らず死んだことがお分かりいただけるでしょう……。それらをご覧になった後、陛下が最後の一人である私を疑うのであれば、それはあまりに惨めです。私の父は、陛下の父君のためにアジャンクールで戦死しました。私も、陛下を守って死ぬことを望んでいます。将来、私に息子が生まれたら、私と同じように陛下の息子のために死ぬでしょう」


国王、立ち上がる:

「サヴォワジー伯爵、私の顔を見てくれ……。あなたと同じように、私は最後の一人だ。王家の希望だった二人の兄は亡くなった……。毒殺説さえある。ブルゴーニュ公とブルターニュ公は、私の義理の兄でありながら敵対している。力強い支えとなるはずの母は、私の血を売買しようとしている。毎日、偉大な家臣たちが私を見捨てて逃げ出し、まるで生きている宝石のように王冠からこぼれ落ちていく」


(※ブルゴーニュ公とブルターニュ公はそれぞれシャルル七世の姉と結婚しているため、家系図ではに当たる)


国王:

「さて、私は一瞬でも、あなたの忠誠に身をゆだねることをためらっただろうか? 私たちみたいな『崖っぷち二人組』は確かに、追い詰められるほど手ごわく、恐るべき力を発揮して守ることもできる。恋人一人、小姓二人、道化師一人、鷹匠三人、そして今この瞬間にも、が不忠義な計画を企んで、王位を抹殺しようとする可能性を考えておかなければならない。ベルベットに身を包んだ私と、鋼鉄に身を包んだ彼は、間違いなく死闘を恐れなければならないだろう……!」


国王、伯爵の肩にもたれかかる:

「古き時代の愚かな伯爵め……!」


伯爵:

「私たち二人が服を着替えれば、もっと良くなるでしょう。この鋼鉄のコルセットは少し重いですが、陛下の腰にはベルベットの服よりお似合いです」


国王:

「伯爵、私は致命的な敵から逃げるために、着の身着のまま、何も持たずに宮廷からこの城へ来たんだ。私たちが組めば、敵と戦って打ち負かすこともできる。助けて欲しい」


伯爵:

「ならば、陛下の期待が裏切られることはないでしょう! ここに私の腕と私の剣がある。陛下が望むなら、私はいつでも敵のところへ行きますとも」


国王:

「いや、行かなくていい……! 逃げるんだ」


伯爵、動揺する:

「何ですって?」


国王、伯爵の耳元でささやく:

「ちょうど退屈してたんだ」


伯爵、冷ややかに:

「おそらく、陛下なりの正当な理由があるのでしょうが。この城にわざわざ来ようとされたのは、陛下がブルターニュ公に提示し、私が大使となってレンヌで交渉中の同盟がどうなったか、その結果を早く知りたいからだと思っていました」


国王:

「恥ずべきことを告白しよう。私の使(※伯爵のこと)が帰ってきたと知らされたとき、私はあなたが出発したことすら忘れていたんだ」


伯爵:

「そうはおっしゃいますが、少なくとも、何か重要な目的のためにここに来られたのでしょう?」


国王:

「間違いない」


伯爵:

「それでしたら、その新しい関心事を私に託したいとお考えなのでしょうか?」


国王、ミステリアスに:

「伯爵、私はね、あなたの森で鹿を狩るために来たんだ。もう自分のものはないからね……」


伯爵、低い声で:

「聖シャルルのご慈悲がありますように」


国王、ユーモアを交えて:

「私は、自分から話しかけたり、人に話しかけられたりするのが好きなんだ。……君はどう?」


伯爵:

「本当にその通りですね、陛下。これほど楽しそうに玉座を失う人は見たことがありません! しかし、陛下、せめてものご報告を……」


アニエス、ドアに現れる:

「陛下、いらっしゃいますか?」


国王、笑う:

「あっ、アニエスが私を呼んでいる」


伯爵、懇願する:

「ちょっとお待ちください!」


国王:

「ホストくん、客を自由にさせるのがおもてなしの原則だよ……。では、おやすみ!」


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