第二幕 サヴォワジー伯爵・3場

◯司祭、後からサヴォワジー伯爵


司祭、伯爵夫人を目で追う:

「行きなさい、哀れな羊よ。神があなたを許しますように! あなたは真実を話しました。あなたはいつも敬虔で善良でした。紺碧の瞳に映し出された子供の心が、これほど純粋に輝いたことはないでしょう」


伯爵、入ってくる:

「司祭さま……」


司祭:

「伯爵!」


伯爵:

「ベランジェールに会いましたね。話し合いの間、彼女は何と言ってましたか? ベランジェールは大泣きしてましたか?」


司祭:

「思ったより、彼女の心は準備ができています。すでに覚悟を決めていたのは間違いありません。なぜなら、以前からあなたは彼女を侮辱してきましたから」


伯爵:

「侮辱……? 司祭さま、いけません。もっとよく話してください! もし先祖の名を受け継ぐ息子がいて、私にもっと実りある愛への希望を与えてくれたなら。もし、哀れなフランスがそれほど動揺していなければ、彼(フランス)が不幸に見舞われたとしても彼を支えるために彼の名前を持つすべての男たちが彼の周りにいなければならない。彼らのうちの一人が疲れたと感じたとき、息子が代わりを務めるためにそこにいなければ、不安を感じて引き下がった途端、自分のそばで傾いた王座を見ることになるだろう! 

……こんな状況でなければ、私は自分の名前が消えて一族の血が絶えるのを文句も言わずに見守っていただろう。しかし、とうとうフランスはここまで落ちぶれ、今まさに終焉を迎えようとしている! 無政府状態で三方面から打撃を受け、由緒ある君主制が血の海に沈むとき、叫び声が息子を与えるように求めるとき、どうしても『それ』が必要だ……! なぜなら人は順番に去っていく(死ぬ)からだ。

そして、死が人間を収穫する新兵器を見つけたかのように、ソールズベリー(イングランド軍の司令官)が登場して、戦闘のまっただ中に大砲を打ち込むようになった! 力と勇気は今どこにあるのか。遠くからの砲弾が、大隊を熟れた麦穂のようにほりの片隅に薙ぎ倒すなら、誰が剣を持ち、槍を振りかざすのだろうか。私たちはあまり豊かではない時代に生まれた! 私たちの父は、父たちの祖先よりも価値が低かった。それでも、彼らは忠実で好戦的だった……。ここに来て、私たちは父祖の誰よりも価値が低い。喘ぐような警鐘が街から街へと駆けめぐる。殺戮と内戦ばかりだ。兵士が仕事を終えて、剣を鞘に収め、農具に持ち替えると、今度は死刑執行人が剣を持つ番だった……。さあ、時は来た。すべての人に扉を開けよう」


司祭:

「それが言いたいことのすべてですか?」


伯爵:

「そうだ」


司祭:

「ですが……」


伯爵:

「メサイア(救世主)の裁きで重要なことは、判決が下るまでは、誰であろうとすべての人が自由でいられるということだ。なぜなら、彼が認める律法において、人はそれぞれ、自分が引き受けた権利で順番にことができるのだから」


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