バリケードとか効果ない皇帝陛下

 とある異世界には亜人と呼ばれるエルフやドワーフ、獣人などなど多種多様な種族が暮している。

 

 魔法があり、魔法技術レベルも向上してきて鉄道も発明され大都市が形成され始めている。

 

 テイム魔法が発明されて魔法技術は新たな領域に、至っている。

 

 そして1つの予言があった。

 

 それは、『魔王が恐怖を与えるとき、勇者の剣と人と暮すドラゴンの献身により魔王は滅び世界は平和になる』

 

 これは、抜けも多かったが当たっていた。実際はこうだった。

 

『魔王が恐怖を与えるとき、(ユウが投げた極音速で飛ぶ)勇者の(持ってた練習用の模擬)剣と人と暮すドラゴンの(主人を守るための)献身により魔王は滅び(というか消滅した)世界は(ユウが満足するための尊い犠牲下僕達より)平和になる(だって最強のユウに逆らう者はいないから、争いは無くなった)。

 

 そしてユウは女帝として、今も君臨している。

 

 空前絶後の最強帝国足らしめている女帝への恐怖はあるが、それでも守らねばならことがある。

 

 女帝ユウが、王国の姫を欲しているだが拒否して表立って帝国とは争えば国が滅びるだろう。

 

 そこで姫を孫のように可愛がっていた、老将軍は考えた。独断専行として姫を誘拐し隠れる。そして女帝ユウが諦めるのを待つというものだ。

 

 それでも念には念を入れ、隠れ家は何百年も昔に放棄された迷路のような坑道の奥深く、そして凄まじい量の爆薬を坑道や山に仕掛けた。撤去に失敗すれば爆死し、更には坑道は埋まり天然のバリケードとなる。

 

 抜け道はあるが全て埋まっても数十年は暮らせる物資と自給自足の用意もある。これで姫様は守られるそう確信した。

 

「爺や、私は皇帝陛下の元に赴きます」

 

「あんな、平民かも、わからないような出自の皇帝に、姫様を嫁がせるなどありえません!!なに守りは完璧です。ご安心くだされ」

 

 老将軍に勝手についてきた兵やメイド達も、鉄壁の守りに心配は無いようだ。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 帝国は反乱として、事態を重く見ており、召喚された勇者下僕3号を指揮官として軍隊を送っていた。

 

「はぁなんでこんなとこしてるんだろう?」

 

「勇者様は元の世界にお帰りになりたいので?」

 

 副官が勇者の独り言の、様な発言に答える。

 

「うーん、ユウ様は何もしなければ最高に可愛いし、すっごく贅沢させてもらってるから帰りたいとは思わないかな。理不尽にはちょっとなれないだけだよ」

 

「そうですか。勇者様はご無理をなされないで下さい」

 

「ユウ様が居ないし今は安心して寝られるけど、なんで勇者なのに戦争に向かうのかなって」

 

「なるほど。帝国の威光というか皇帝陛下のご意思に逆らう者などいませんよ。この帝国旗を掲げた軍に平伏すほかありませんから、殺し合いにはなりません」

 

「そうだといいけど」

 

 不安そうにしながらも、ユウが恐ろしい勇者は王国からあの手この手で脅しまくり、あっという間に情報を抜き出し、姫のいる廃坑を見つけ出した。勇者くんもすっかりユウに染まっていたのだった。

 

「この山が爆弾になってるね」

 

「ええ、兵を進めてはこちらの被害が膨らむばかり、陛下の兵を減らしたと合っては・・・」

 

 勇者も副官も兵達も震え上がった。皇帝陛下のご怒りは死ぬよりも怖いのだ。皇帝ユウの実害に合うのは勇者達下僕達だけなのだけども、それを見せられるだけでも恐ろしい。

 

「ここは僕が行くよ。腐っても勇者だ。きっと死なないさ」

 

 颯爽と廃校に突撃した勇者君は、入口3メートルでトラップの糸をプチッと引っ掛かり切ってしまい、ドッカ~ンと爆発し山体崩壊を引き起こし埋まった。

 

「あっ、伝令!!皇帝陛下へ即刻報告するのだ!!光よりも早くお伝えしろ!!」

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 爆発して勇者が埋まった頃内部では将軍達は安心を深めていた。


「帝国軍といえどこれで諦めでしょう」

 

「爺や、やり過ぎでは?」

 

「このくらいせねば本気を理解したでしょう。後は皇帝が折れるのを待つだけですな。はーははは」

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「えっ勇者下僕3号が埋まった?もぉ勝手なことしてだめじゃん。仕方ない。ランドルフ(エルフの幼馴染み)下僕1号ランドルフ2号(オーク)下僕2号王女(百合相手)下僕5号アルフィ(ドラゴン)下僕6号行くよ。アルフィ下僕6号皆を乗せてかっ飛びなさい。グラビティ」

 

「くぉ〜ん」

 

 アルティメットファイアドラゴンのアルフィは下僕達を背に魔法で押し付けられて動けなくなる。

 

「行くよ!!かっ飛びなさい」

 

 アルフィの尾をユウは握るとハンマー投げのように回転して、アルフィと下僕を放り投げた。

 

「くぉ〜ん(¯―¯٥)」

 

「こら!!私を置いて行くな!!」

 

 ユウは放り投げたアルフィにジャンプで追いつくと「めっ」とアルフィの頭をはたき、墜落させた。

 

 アルティメットファイアドラゴンのアルフィが廃坑の前に突き刺さり、ユウはアルフィをクッションにして着地した。

 

「へ、陛下お早いおつきで・・・」

 

 副官はドン引きである。

 

「それで勇者君下僕3号はどこに?」

 

「勇者様は爆薬の埋まった坑道に埋まっています。爆弾が、多すぎて救出作戦は遅々として進んでおりません」

 

「そう、ランドルフ2号!!」

 

 オークのランドルフ2号はふらつきながらも最も付き合いの長い下僕なので、ユウ元へ馳せ参じんるのであった。

 

ブヒィ〜?なんで首輪?

 

 ランドルフ2号に着けられた首輪からは極太な鎖がユウの手に握られている。

 

「ランドルフ2号、下僕3号を助けなさい!!」

 

ブヒィー!!これヤバい!!ブヒィー!!根性ー!!

 

 ユウは、ランドルフ2号を崩れた山に投げつけて、爆弾を起爆させる。そしてチェーンで引き戻しまた投げて起爆させるそれを繰り返した。

 

「ヒール、ヒール、ヒール」

 

 引き戻される時に勇者仲間を助けるために、岩を持ってくるランドルフ2号の根性は称賛されるべきだろう。返ってくるたびにユウの投げる力と引き戻す力が強すぎて死にかけているのではあるけども。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「爺や、すごい音がしてますわ」

 

「なに、爆弾はまだまだありますしここは崩れないようにした仕掛けてありますから・・・あれぇ?」

 

 天井からパラパラと小石が降り始めていた。

 

「爆弾だけじゃない音してませんこと?」

 

「・・・たぶん大丈夫でしょう・・・あれぇ?天井の岩盤がどこかに飛んで行った・・・!?」

 

「あっ反乱軍みっけ。ねぇ私の下僕3号が死にかけた責任取ってくれる?」

 

「ユウの方が酷いことするし、死にかけてるけど?」

 

「もぉ~、そんなことしないよ。ファイアボール、ヒール」

 

 勇者下僕3号が失言したので、アルティメットファイアドラゴンのブレスより強力な炎で焼かれて回復させられた。

 

「「申し訳ありませんでした」」

 

 老将軍と、勇者は同時に土下座した。

 

「生きてたから別に良いけど、なんで反乱したの?」

 

「皇帝陛下が姫を妾にすると言われたからです。どうかご再考をお願いいたします」

 

 額を地面にこすりつけて懇願する老将軍である。

 

「あれ?そんな事言ってないよ?ねぇそんな嘘いったの誰?」


 そこで王女下僕5号が目を逸らす。

 

「その、ユウ様の仕打ちが酷いのでお友達も同じ目に合えばいいなーって」

 

「へぇ~、下僕5号王女が原因か。今から豚になって謝りなさい」

 

「えっ!?」

 

「えっじゃない。暗黒弾、ヒール。ブヒでしょ?豚なの!!二本足で立たないの!!」

 

「ブヒ」

 

 暗黒弾で三途の川を99%渡った王女は四つん這いで豚になった。

 

「うーん、なんか謝ってる感じしないなぁ。そうだ、この国の全員に許してもらえるまで豚ね。それまでは、完全に豚コスプレね」

 

 ユウは王女をマッパにすると、穴に入れる豚の尻尾が生えたように見える、大人のオモチャをつけた。

 

「キャ~やめてぇ〜」

 

 王女は羞恥心から悲鳴を上げる。

 

「ブヒでしょ!!暗黒弾、ヒール、ファイアボール、ヒール、アースランス、ヒール」

 

「ブヒ」

 

 王女はすっかり調教された。

 

「そこまでしなくても、高貴な生まれですし・・・許しますから」

 

 老将軍もこの仕打ちには怒れない。というか不憫すぎる。

 

「有言実行だし、この国でごめんなさい行脚させて許してもらえるまで、豚だから」


「ユウ、女の子なんだし下着くらいは着せてな?」


幼馴染みのランドルフくんが進言する。元とはいえ、婚約者だし守ろうとしたのだろう。


「豚が下着を着てる方がおかしくない?貞操は私の物だし大丈夫だって」


「あはは、頑張って」


「ブヒ(TдT)」

 

 世界はユウの恐ろしさに改めて震え上がったのであった。なお王女は奴隷よりも酷い扱いに、許されたとのであった。

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