優しい皇帝陛下 特別編 エイルの挑戦状10
野良アルティメットフローズンドラゴンを討伐するべく
しかしながらアルティメットフローズンドラゴンの強さは本物で死者こそないが、兵達は凍りついてしまっていた。
色々と解凍を試したものの、元々極寒の地なので暖を得るだけでも大変なので、新しい暖房器具が要請されたのだった。
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宮廷魔法使い、要するに給料を帝国から貰うサラリーマンなのであるがその魔導具開発部門はアルティメットフローズンドラゴンの生息地の極寒にも負けないファンヒーターを開発した。
そしてもちろん新規開発したらテストはしなければならない。開発部門では悪用出来たり壊れたりしないか専門で解析テストする人員もいる。
そんなテスターである俺の元へ新製品は送られて来たのだった。
「このファンヒーターは『どんな寒さにも負けないで使える暖かさ』を実現した。このキャチコピーでこ
「あぁ平和な異世界からやってきて、軍の指揮官をやってる勇者様への支援物資か。そりゃ現場で確実に使えることを証明しないとな」
「そうだ。試作品はこれだ。頼むぞ」
基本的にオリハルコン製であり、部品によってはミスリルドラゴンやアダマンタイトなどなど高価な金属で作られてる。帝国の最先端テクノロジーの塊であることは一目瞭然でオリハルコンなので破壊する方法などなさそうではある。
「やれるだけやってみよう。戦場じゃ何があるか分からないからな」
こうして先ずは冷却することにする。しかしながら、アルティメットフローズンドラゴンブレスほど冷す事は簡単ではない。
そこで専用の断熱材で覆い尽くした部屋を用意して、とにかく部屋の外から冷却魔法を連打して少しづつ温度を下げていく。これでなんとか空気が液化するくらいまでは低温に出来る。
「ぜぇぜぇ、ここまでキンキンに冷やしてしまえばアルティメットフローズンドラゴン相手といえど大丈夫だろう」
空気が液化する部屋に入るのは危険なので魔法で起動スイッチを押すと瞬く間に室温が上がり暖かくというか暑くなり更に熱くなる。
「どんな性能してんだよ!!」
ファンヒーターの性能に驚愕しつつも、これを
「そりゃ、『どんな寒さにも負けないで使える暖かさ』ならまだまだ足りないだろうな」
そこで俺は思いつく限り
慎重に
そしてファンヒーターを起動させた。
ファンヒーターからは凄まじい熱量が吐き出されるが氷は負けることなく溶けないばかりか、室温が上がることを阻止する。
ピシ、ピシとヤバげな音がなり始めたので俺は部屋から退避する。
最強金属オリハルコンでも凄まじい温度差による熱膨張とか、急冷急加熱の繰り返しには耐えられないらしく徐々に脆くなっているようだ。
「もう実験やめたいけどさ。あんなの近寄れねぇ」
間違いなく熱源は皇帝陛下の魔法だろう。そして冷却も皇帝陛下の魔法なのだ。ならばどうなるか。考えるまでもない。
オリハルコン製の超高級ファンヒーターは大爆発を起こしてしまったのだ。
残されたのは、氷の塊と火の玉として浮かぶ皇帝陛下の魔法だけだった。
「ユウ皇帝陛下の魔法やべぇ、まじでチビッたぞ」
とりあえず結論は『どんな寒さにも負けないで使える暖かさ』ではない。少なくともオリハルコンには耐えられない寒さは存在したのだ。
俺は報告書を書き上げ今日の仕事を終えたのだった。
次の日俺は上司つまり、
担当は、軍事が
「オリハルコンを消滅されるほどのテストをするなんてあんた、ばかなの?ねぇ、ばかなの?ばかだったな」
やっぱりオリハルコンが皇帝陛下の魔法で消えて無くなったのは怒られるよな。
「あの試作ファンヒーターにどれほどの人件費材料費なにより開発者達が寝る間も返上して作り上げたのよ?開発部門の宮廷魔法使いが泣きながらあんなのありえないってクレーム言ってきたわ。だから彼らの苦労に報いるために貴方はクビよ」
「確かに、あれほどのファンヒーターを作り上げるには苦労どころか塗炭の苦しみを超えて地獄の行進でしょう。もし、あの試験をしないで『どんな寒さにも負けないで使える暖かさ』のファンヒーターとしてユウ皇帝陛下へ献上するのは誰ですか?」
そりゃ目の前の
「・・・まさか」
「仲間からは恨まれましたが、上司を守りました」
間違いなくユウ皇帝陛下は自らの魔法で試すだろう。それで壊れて責任というか折檻というか、娯楽を提供するハメになるのは下僕5号なのだ。
「よくやりました。しかしながら処分はします。減給12ヶ月にします」
1年間無給労働なのだが、目の前の上司はそっと袋を差し出してくる。
「それは私のポケットマネーです。1年間計画的に暮らしなさい。ファンヒーターは陛下の魔法以外は耐えるとして、献上します」
どうやら、俺は事実上無罪放免である。
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ファンヒーター2台目を作製している頃ユウは我慢できないでランドルフ2号を、連れて最前線へやってきていた。
「ユウ様!?」
「情けないなぁ。勇者なんだからトカゲくらい早く倒しなさいよ。ヒール、ファイア」
ユウの魔法で全軍の体力とMPが全開し更にアルティメットフローズンドラゴンのブレスで解けない氷に囚われた兵も一瞬にして開放された。
「あはは、立場ないなぁ」
「よーしついでにトカゲもやっとこ、ランドルフ2号私が動きを止めて首をとるから胴体を押さえる作戦で行くわよ」
「ぶひ!!」
勇者くんと帝国軍は頼もしいと皇帝陛下なエルフ少女と執事のオークを最敬礼で送り出したのだった。
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氷の世界の主とも差し支えないアルティメットフローズンドラゴンはユウを雑魚と捉えた。氷無効なのにアイスニードルという極小な氷の針で攻撃してきたからだ。そしてアルティメットフローズンドラゴンの意識は途絶えた。
「
「ランドルフ2号!!さぁ私が頭を引っこ抜いて剥製にするから胴体押さえてなさい」
ランドルフ2号は一瞬この氷に触るのはやばくね?と躊躇うが主には逆らえないと覚悟を決めてアルティメットフローズンドラゴンをホールドする。そしてユウは身体能力を魔法で強化しまくり、力技でアルティメットフローズンドラゴンの首を引き千切る。
アルティメットフローズンドラゴンは肉体の中までカッチコッチになっており血は流れない。
「
「なに?ヒール」
あまりの冷たさに癒着していたランドルフ2号の手が回復により外すことができた。
「ブヒ」
即座に土下座するランドルフ2号に気にしてないと手を振り許す。
「そんなことよりもこのトカゲの胴体は売って頑張った兵達、特に死にかけた者への補償にするから、持って来なさい」
最敬礼してランドルフ2号はアルティメットフローズンドラゴンの死体というか氷漬けを運び出した。もちろん重さよりも主の魔法の方が問題である。
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「下僕3号、私は退治を命じたのになんでできないかな?」
帰還したユウは勇者くんを詰め始める。なお兵達は完璧に保管されたアルティメットフローズンドラゴンの素材がめっちゃ高値で売れたので莫大なボーナスを受け取っている。
「いやそのね、アルティメットだよ?相手強すぎかな~なん@#%$*¥仝〃ゞ⊂∑」
勇者くんの口にスパイなどを捕まえて舌を噛んで自殺させないための人道的な道具である穴の空いて呼吸はできるけど、噛むことや喋れなくなるボールが入れられて、紐を後頭部で結ばれてしまう。
「これから反省してもらうから、落ち込みすぎて自殺しないようにね♪」
「∷∶α⊗⊗∉≧仝ヽー」
何か言いたげではあるが言葉に出来ない勇者くんである。
そして縦長い木枠の四つ角に手首足首を固定されて、マッパに木の葉でシンボルを隠し、最後に目隠しをされて完成する。
「うん、これで迷惑と心配かけた兵士達とその家族にごめんなさいしに行くよ、ヒール、ヒール」
ユウはムチ打ちして死にかける勇者くんへ回復魔法をかける。
なおこの皇帝陛下と勇者くんのごめんなさい行脚は死者がいないこともあり、家族からはそこまでしなくてもと同情と陛下強さに安心をあつめたのであった。
兵達は、自分達の不甲斐なさで上官があんな不憫な目にあわせてしまったとよりいっそう訓練に励んだのであった。
一部の女子から異様に人気が上がり勇者くんが苦労するが別な話である。
『陛下の魔法以外のどんな寒さにも負けないで使える暖かさ』というファンヒーターを献上した
「なぁ、俺はこの金返すべきかなぁ?」
事の顛末を知った俺は上司を救えなかった。だから他の宮廷魔術師に相談する。
「貰っとけ、なんだかんだと王女様折檻されたいから怒られることしてるだろ?」
「そうか、もう救いのないドMだったのか」
「嫌よと言いつつ幸せそうだもんな」
「あんな人間の尊厳踏みにじられて嬉しいのかねぇ?」
「幸せは人それぞれなんだよ。勇者様もなんだかんだと幸せそうに木の葉を○○で汚してたしな」
「・・・」
俺は遠い風景を眺めるのであった。
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あとがき?
エイルの挑戦状をエイルが判定するとかマッチポンプよりも酷いですし、コラボ企画なので突破してるかは参加した読者様に判断を委ねます。
このユウの魔法のヤバさは他のストーリーを読めばよく分かるかと(^^ゞではご自身の独断と偏見で判断して下さいませ♪
最強皇帝陛下はエルフ少女 エイル @eilu
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