第123話 アリのダンジョン

「バウッ!」


ビタンッ!!


僕達はカリューンがアリを退治する姿を眺めながら迷路の様に入り組んだ洞窟を、黒いモヤを頼りに進んでいた。


一応は巨大なアリが出てこないかを警戒しながら進んではいるけど、ダンジョンに入って2時間は経過しているけど、極小アリしかいない。


前回もそうだけど、特殊ダンジョンの最初は敵が弱い代わりに永遠に彷徨わせるタイプの罠があるのか?


ちなみに、分かれ道は左右だけでなく、上下何かもあり、通常の迷路の比ではない難易度で、分かれ道なんて既に150回はあった。


だから道を覚えるのも不可能に近い。


しかし、洞窟の通路は広いのに、アリが極小サイズなのは何でだ?


普通なら巨大なアリが出てきそうなのにな……。


こんなの、僕以外に攻略なんか出来るのか?




更に進む事、1時間……僕達は広い空間に出た。


広い空間には沢山の穴があるだけで、黒いモヤはここで途切れていた。


「レイ、ここからはどっちに進むにゃ?」


「それが、ここで黒いモヤが途切れてるんだよね……」


「怪しいにゃね」


エレナも広い空間には入らず、じっと見つめる。


黒いモヤは広い空間の中央で途切れているのが気になる。


前回のスライムダンジョン最後と似ているんだよな。


あの時は中央にコピースライムがいたが……もしかして中央に極小サイズのボスアリが居たりするか?


「エレナ、中央には何かあるはず。それが分からないうちは行かない方が良いかも」


こんな時にスラリンが居てくれたら、分裂による特攻が楽なんだけど……実はスラリンはエリーさんに預けていて近くにはいないのだ。


なんかスラリンに確認しなくてはいけない事ややらなくてはいけない事があるらしく、2ヶ月くらいはエリーさんに預ける事になったのだ。


「どうやって中央部分を確認するかな……」


魔導弾を放てば罠があるか位はわかるけど、もし貴重なアイテムとか移動に必要なものまで壊してしまう可能性があるから、慎重にならなくては……ん?


アオイとカリューンが近くにきて肩を叩かれた。


「……」

「バウッ!」


どうするかを考えていたら、アオイとカリューンが何か良い案があるらしい。


「え? 特攻? いや、流石にそれは……スラリンは良くて私はダメなのか?って……」


アオイは中央部分にはカリューンと一緒に行き、調べてくると言っていて、モンスターが襲って来るだろうから、カリューンが時間稼ぎをしている間に、自爆を使い、モンスターを殲滅するから、再召喚をしてくれと言ってきたのだ。


アオイはモンスターが襲って来るのに確信があるみたいで、誰かが中央に行かなくてはいけないが、行けば確実に死ぬと言っている。


そして、前回のダンジョンでスラリンが罠部屋解除に使った自爆特攻をヒントにしているから、ダメとは言わないですよね?と言ってきたのだ。


確かに効率的だし、死魂兵は再召喚出来るから、問題は精神力だけだが……何となくスライムの自爆はそういうものかなって割り切れたが、人型と犬型が自爆特攻するのはイメージ的に気が引ける。


しかし、死魂兵から強い意思を感じる。


死魂兵は根本が怨念みたいなものだから、勝つ為なら己の犠牲は気にしないという意思が……。


「分かったよ。アオイとカリューンに任せた」




蒼騎士アオイLv.21

スキル 剣術、盾術、挑発、自爆


魔犬カリューンLv.28

スキル 疾走2、噛みつき、威嚇2



自爆…体力が高いほど威力が上がる怨念爆発。

   爆発範囲は10m。

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