第117話 死魂召喚
僕達がダンジョン攻略をしてから1日が経過した。
アオイさんの死亡という結末で終わった初ダンジョン攻略だが、次のダンジョン攻略は3日後になった。
本当はもっと期間を開けたかったが、ダンジョンブレイクのタイミングもあるからあまり時間に余裕は無いのだ。
ちなみに、アオイさんの葬儀は無かった。
何故かというと……アオイさんという子供はモロットには居らず、アオイさんの両親も存在しなかったのだ。
一応、エリーさんとガインさんは詳細を知っているらしいが、教えてはくれなかった。
蒼木ジュリアの記憶を微かに継承した時は気が動転して分からなかったが、よくよく考えたらアオイさんの中身はアルファとかホムンクルスと似たような存在だったのかもしれない。
蒼木ジュリアの魂は蒼い全身鎧にあったので、鎧を動かす為の中身という感じだったのだろう。
そうなると、蒼木ジュリアは魔剣みたいな感じなのか?
鎧だから魔鎧か。
あと、エレナ、ブラット、ケイトさん、マキさんの4人は強化修行という事で山へ連行中である。
本当は僕も来るように言われていたけど、断った。
僕は試したい事があるのだ。
それは死魂召喚でアオイさんを呼ぶ事だ。
どんな感じで呼び出されるのか分からないので、とりあえず一人の時に召喚する事にしたのだ。
死魂って言うくらいだから、下手したらゾンビみたいな感じかもしれない。
ゾンビみたいな感じなら、正直人前では使い難いだろう。
それでもアオイさんの復讐を叶える為に使うしかないが……。
★
僕は一人でコッソリと町の外へ来ていた。
町から1キロくらい離れた場所なら良いだろう。
ここまで町から離れてしまうと魔獣に襲われる危険性はあるが、仕方ない。
さて、やるか。
「いでよ! 【死魂召喚】蒼騎士アオイ!」
【死魂召喚】を使った瞬間、精神力がガッツリと減るのが分かった。
うお……こんなに精神力が減るのか。
そして、僕の身体の中から光の珠がふよふよと出てくると、光の珠はどんどん大きくなり、人形へと変わっていく。
最終的にはアオイさんと全く同じ全身鎧になった。
見た目だけなら本物と見分けが付かない。
これって死者蘇生みたいなものなのか?
う〜ん、これはこれで死者への冒涜みたいな感じにみられないかな。
アオイさんに関しては本人達の強い復讐心から来ているから死魂召喚しても問題はないのは僕が分かってるけど、人前で使うのは気が引けるかもしれない。
まあ、ダンジョン攻略には欠かせないから、幼馴染4人と親達位には知らせるつもりだ。
「アオイさん、僕の事は分かりますか?」
あと、記憶はどの程度あるのだろうか?
「……」
アオイさんは頷くが話はしない。
あれ?
「もしかして話せない?」
また頷く。
「話せないのか……念話は使えますか?」
今度は首を振る。
なるほど。
「じゃあ、記憶は死ぬ直前までありますか?」
頷く。
「死魂召喚はずっと召喚しておくか、僕の体内に潜るか出来るだけど、どうする? ダンジョン攻略時には来てもらうつもりだけど」
するとアオイさんは森を指差した後に、持っていた剣をぶんぶんと振る。
「ああ、レベル上げしたい?」
頷く。
「それじゃあ、最初だけ一緒に魔獣狩りをしよう」
僕も魔獣狩りは初めてだけど、アオイさんと一緒なら大丈夫だろう。
蒼騎士アオイLv.1
スキル 剣術、盾術
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