第19話 魔導二輪車

 自分とゴッキーさんは、とある少女達を救出する為にクラウシスという小さな町を目指す事にした。


「クラウシスまでの距離は少しありますが、私達が走れば3日で着くと思います」


「え、走るんですか? 乗り物に乗って……電車とか車が無いのか……」


「はい、この時代にはまだ無いはずです。マスターの【マナゲート】になら乗り物があるのでは無いですか?」


「【マナゲート】って乗り物もあるの? あの【マナゲート】ってなんなの? アルファみたいなクローン体とかあったり、食材もあるし、このアルファの着ている【魔導服】ってのもあったし……誰が用意してくれたの? あの金髪美女の人かな? ゴッキーさんは知ってる?」


「……すいませんが、その質問には答えられません。使用方法や道案内は出来ますが、それ以外の事に関しては教えられない場合があります」


「ああ、そう言えば、えっちゃんが言っていたね。ゴッキーさんを召喚出来る代わりの制約だっけ」


 確か異世界に干渉出来る代わりに制約を受けるって言われたな。


「はい」


「まあ、それなら仕方ないよね。それで、【マナゲート】に乗り物があるの?」


「正解にはあるかは分かりませんが、バイクなる物があった気がします」


「へぇ、バイクがあるのか。だけど……こんな舗装されていない道を走れるのかな?」


 前世では車よりバイクに乗る事が多かったから、バイクがあれば嬉しいけど、町中は多少のレンガ道があったけど、町を出たら草を刈っただけのボコボコ道があるだけなんだけど、こんな道をバイクが走れるのか?


 しかし、どんなタイプのバイクか分からないので、とりあえず【マナゲート】内を探るかな。


【マナゲート】には精神力の関係で直接行けないけど、【亜空間接続】というスキルを使えば【マナゲート】内にある物を探索、取り出し、連絡等が出来る。


 そして、自分の脳内にあるバイクのイメージを固定し、探索をかける。


【亜空間接続】も便利な様に思えて、実はイメージしなければ探索に引っかかりすらしないので、自分がバイク系の物が【マナゲート】にあると思っていないと駄目なのだ。


【魔導二輪車】

 アバロンブレイカー……アメリカンバイク。

 カオスブレード……スポーツバイク。

 グランドハート……オフロードバイク。


【魔導三輪車】

 ラグナロクスター……トライク。



 ああ、1種類じゃなくていろいろあるんだ。


 ……それにして、この名前はなんだ?


 中二病みたいな名前が付いてるけど、誰がこんな恥ずかしい名前を付けたんだ?


 まあ、それは今考えても仕方ないか。


 自分はとりあえず、オフロードタイプのバイクであるグランドハートというものを【マナゲート】から取り出す。


 ああ、このバイクなら舗装されていない道でも大丈夫そうだけど……燃料はなんなんだ?


 馬車が主流っぽい異世界にガソリンがあるとは思えないし……自分は取り出したグランドハートに触ると、【魔導力】が微かに吸われるのを感じた。


 あ、これって【魔導二輪】って言うくらいだから、燃料は【魔導力】なのか?


 しかも吸われた【魔導力】は微々たるものだから、ほとんど制約がないみたいな便利なものだな。


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