第15話 クローン体②

「召喚ありがとうございます、マスター」


 アルファという名前のイケメンは真っ黒な服を着ながら綺麗なお辞儀をする。


 これだけ見ると、簡易的な人格しか無いだなんて信じられない。


「召喚が上手くいったね。それじゃあ、早速だけど、クローン体に並列処理した思考を憑依させて遠隔操作する方法を学ぼうか」


 えっちゃんは早速、次の課題を話し出す。


 そう、金髪美女から言われていたお願いは、クローン体を呼び出し、【真核憑依術】という自分の思考をクローン体に憑依させるという心霊現象みたいなスキルを使える様になり、例の少女達を助けて欲しいというもので、アルファだけではスキルが使えないのだが、自分が憑依すると本来使える筈のスキルがある程度は使える様になるらしい。


「分かりました」


「とりあえずは精神力が尽きる直前まではチャレンジしてもらおうかな! 精神力の残量は何となくでも分かるでしょ?」


「はい、だいたいで良ければ分かります。何で分かるのかが分からないですけど……」


 何故かは分からないけど、感覚的に精神力の残量がバッテリー残量の様に分かるのだ。


 ちなみに、今の自分の精神力残量は4割くらいだ。


「ふふ、それがマスターの才能ってやつだよ。それじゃあ、アルファはそこに座って、無心状態になって」


「分かりました」


 アルファは頷くとえっちゃんがいきなり虚無から取り出したりパイプ椅子に座り、目を瞑り無心状態になる。


「次はマスターがアルファの胸か頭に手を当てて、精神をアルファの中に浸食するイメージでやってみて」


「浸食……」


 えっちゃんや金髪美女は簡単に浸食って言うけど、アルファの精神を浸食するってイメージが自分にはよく分からない。


 簡単に言えば身体を乗っ取るんだと思うけど……


 とりあえず、自分は右手をアルファの右胸に当てて、アルファの体内にあるだろう【魔力】を探知しようとする。



 ……。


 …………?


 あれ?


 アルファの体内に流れているのは【魔力】じゃなくて【魔導力】?


【魔導力】って普通の人には無いんじゃなかったのか?


 そう言えば、アルファって誰のクローンなんだ?


 前世の自分にちょっとだけ似ているなぁとは思うけど、多分他人が見たら別人だろってレベルでアルファはイケメンだ。


 となると、遠い親戚レベルのクローンかもしれないが、異世界に居るのが分からない。


「マスター、集中しないとダメだぞ!」


「あ、ごめん」


 余計な事を考えていたら、えっちゃんに怒られてしまった……。


 集中、集中……。





 どうやろうか、いろいろ考えていたら、ひとつのアイデアを思いつく。


 アルファの体内に流れる【魔導力】と自分の使う【魔導力】は同系統だろうから、アルファの体内に自分の【魔導力】を流し入れ、その【魔導力】を操れば浸食みたいな感じになるのではないだろうか?


 何となく、これが正解な気がする。


 自分は早速、アルファの体内に自分の【魔導力】を少しずつ流し入れていった。





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 名前・レイ(0歳)

 状態・良好

 属性・※※※

 職種・ジョブホッパー

 種族・※※※


 パッシブ・素材の極み、魔導の極み

      転職の極み、多次元並列思考

      多次元干渉耐性、真素認識


 アクティブ・魔導操作


 固有スキル・ジョブホッパー

       

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